「造船と鉄鋼、結局どの会社が一番稼げるの?」「重工大手と専業造船って、年収はどれくらい違う?」──。サマーインターンや秋選考の準備が本格化するこの時期、業界研究を進める就活生・転職検討者の方は、気になっているのではないでしょうか。
本記事は2026年8月時点の公開情報(各社有価証券報告書・公式採用サイト等)をもとに、造船・鉄鋼・重工の主要上場9社の平均年収ランキングと、非上場オーナー系造船5社の初任給比較を1本にまとめました。数字はすべて出典と年度を明記し、「平均年収」と「初任給」という性質の違うデータは混ぜずに別の表にしています。数字の正しさに徹底的にこだわった、業界年収の決定版ガイドです。
※本記事の平均年収は、各社の有価証券報告書(2025年3月期)に記載された提出会社単体・全従業員の平均年間給与に基づきます(2026年6月〜8月に当ブログで照合。約表記は万円未満の丸めによるものです)。2026年6月に提出された2026年3月期の有報で数値が更新されている会社があります(注記参照)。初任給は会社により実績年度・手当の定義が異なります。最新・正確な数値は必ず各社の有価証券報告書・募集要項でご確認ください。
📖 この記事の目次(クリックでジャンプ)
- 1. 結論:造船・鉄鋼 上場9社の平均年収ランキング
- 2. このランキングを正しく読むための3つの注意点
- 3. 業種別の傾向──重工・高炉・電炉・専業造船で何が違う?
- 4. 非上場オーナー系造船5社の初任給比較
- 5. 「年収の高い会社」に入るには──就職・転職戦略
- 6. よくある質問(FAQ)
- 7. まとめ
1. 結論:造船・鉄鋼 上場9社の平均年収ランキング
まずは結論の一覧表から。有価証券報告書(2025年3月期)に記載された単体の平均年間給与で並べたランキングです。
| 順位 | 会社(証券コード) | 平均年収※ | 主な事業 |
|---|---|---|---|
| 1 | 三菱重工業(7011) | 約1,017万円 | 総合重工(エナジー・防衛・航空宇宙など) |
| 2 | 日本製鉄(5401) | 約905万円 | 高炉(鉄鋼最大手) |
| 3 | 東京製鐵(5423) | 約871万円 | 電炉(独立系最大手) |
| 4 | IHI(7013) | 約813万円 | 総合重工(航空エンジン・防衛など) |
| 5 | 神戸製鋼所(5406) | 約812万円 | 鉄鋼・アルミ銅・機械の複合 |
| 6 | 川崎重工業(7012) | 約793万円 | 総合重工(二輪・航空・防衛・造船など) |
| 7 | 三井E&S(7003) | 約703万円 | 舶用エンジン・物流システム |
| 8 | 名村造船所(7014) | 約657万円 | 造船専業(グループに函館どつく・佐世保重工) |
| 9 | 内海造船(7018) | 約550万円 | 造船専業(フェリー・内航船に強み) |
※各社の有価証券報告書(2025年3月期)記載の提出会社単体・全従業員平均。万円未満を丸めた概数です。三菱重工業は2026年3月期の有報で約1,072万円に上昇したと報じられており、他社も2026年3月期分で数値が変わっている可能性があります(本表は年度をそろえるため2025年3月期で統一しています)。名村造船所・内海造船は当ブログの過去照合値(同年度ベース)で、円単位の正確な値は各社有報をご確認ください。
2. このランキングを正しく読むための3つの注意点
年収ランキングは「数字の一人歩き」が起きやすいジャンルです。誤解しないための注意点を先にお伝えします。
- ①「単体・全従業員」の平均である──有報の平均年収は、その会社単体の正社員全体(現場職も総合職も、若手もベテランも)の平均です。「入社◯年目の自分がもらえる額」ではありません。平均年齢が高い会社ほど数字は高く出ます
- ②重工大手は「造船の年収」ではない──三菱重工・川崎重工・IHIの数字には、防衛・航空宇宙・エネルギーなど造船以外の事業の従業員が多く含まれます。「造船部門に入れば1,000万円」という意味ではない点に注意してください
- ③賞与の業績変動が大きい業界である──鉄鋼・造船とも業績連動の賞与ウエートが高く、好況期と不況期で平均年収が数十万円単位で動きます。2025年3月期は両業界とも比較的好調な時期の数字です
なお、JFEホールディングス(5411)をこの表に入れていないのは、持株会社単体の平均年収は少人数の管理部門社員の数字になり、事業会社(JFEスチール)の実態と大きくズレるためです。同様の理由で持株会社体制の会社は比較から外すか、事業会社ベースで見るのが正解です。
3. 業種別の傾向──重工・高炉・電炉・専業造船で何が違う?
表を業種で括り直すと、はっきりした構造が見えてきます。
- 重工大手(三菱重工・IHI・川崎重工)=約790万〜1,000万円超──防衛・航空など高付加価値事業を抱え、業界トップ水準。防衛予算拡大の追い風で、直近は上昇傾向です
- 高炉・複合大手(日本製鉄・神戸製鋼所)=約810万〜900万円台──メーカーとして国内最高クラス。日本製鉄は好業績期の賞与が厚いことで知られます
- 電炉(東京製鐵)=約871万円──今回の表で意外に見えるのがここ。少数精鋭・高効率経営の電炉大手は、実は高炉に迫る高水準です(ただし業績連動の賞与の振れが大きく、同社は2026年4〜6月期に経常赤字に転落しています。表の数字は好況期のものと考えてください)
- 専業造船(名村造船所・内海造船)=約550万〜660万円──重工大手とは300万円以上の差。ただしこの差は「造船の仕事の差」というより、事業ポートフォリオと企業規模の差です
造船は業界全体の手持ち工事量が約3.6年分(2026年6月末時点・日本船舶輸出組合まとめ)という歴史的な好況期にあり、鉄鋼も含めて人手不足を背景にした賃上げ・待遇改善が業界全体で進行中です。実際、今治造船の大卒初任給は2025年→2026年で約2万円上がりました(後述)。今の平均年収の「差」だけでなく、これから伸びしろが大きいのはどこかという目線も持つと、会社選びの精度が上がります(この段落の見通し部分は筆者の見立てです)。
4. 非上場オーナー系造船5社の初任給比較
今治造船・常石造船など非上場のオーナー系造船は、有価証券報告書がないため平均年収の公式データが存在しません。そこでこちらは公表されている大卒初任給で比較します(平均年収の表とは物差しが違うため、直接比較はできません)。
| 会社 | 大卒初任給(実績年) | 賞与 | 年間休日 |
|---|---|---|---|
| 常石造船 | 280,000円(2025年4月実績) | 年2回(業績連動) | 124日 |
| 大島造船所 | 274,200円(2026年度実績) | 年2回 | 121日 |
| 今治造船 | 257,366円(2026年4月実績) | 年3回(期末決算賞与あり) | 123日 |
| 尾道造船 | 250,000円(2025年4月実績・一律手当16,000円込み) | 年2回 | 123日 |
| 福岡造船 | 235,000円(2025年4月実績) | 年3回(業績変動) | 122日 |
※出典:今治造船・大島造船所は公式採用サイト、常石造船・尾道造船・福岡造船はマイナビ2027掲載データ(いずれも2026年7月時点で当ブログ照合)。実績年度と手当の定義が会社ごとに異なるため、金額の単純比較はできません。このほか新来島どっくは2025年3月時点の当ブログ調べで大卒231,000円でしたが、最新の条件は公式採用ページでご確認ください。
注目は今治造船の伸びです。同社の大卒初任給は、2025年3月時点で公表されていた237,366円から2026年4月実績の257,366円へと、1年でちょうど2万円上がりました。売上6,005億円と過去最高を更新した好業績(会社解説はこちら)が待遇に反映され始めています。また、オーナー系は寮・社宅の安さ(大島造船所は男子寮月5,910円)や賞与年3回(今治・福岡)など、初任給の額面以外の魅力も大きいのが特徴です。詳しくはオーナー系造船5社の待遇比較で1社ずつ解説しています。
5. 「年収の高い会社」に入るには──就職・転職戦略
ランキングを踏まえた実践的な戦略です。
- 年収最優先なら重工大手+日本製鉄──ただし人気も難易度も最高クラス。技術系は院卒(修士)採用が中心で、研究室推薦・学校推薦のルートも太い世界です
- 「電炉の東京製鐵」は隠れた高年収──知名度で見落とされがちですが、平均年収は表の通り高炉に肉薄。脱炭素時代の主役でもあり、狙い目と言えます
- 専業造船は「生活コスト込み」で逆転あり──額面は重工より低くても、格安の寮・社宅と地方の生活コスト、業績連動の賞与増で、手取り・貯蓄額では想像以上に健闘します
- 転職なら今が売り手市場──造船・鉄鋼とも人手不足で、機械・電気・溶接系の経験者は歓迎される局面。年収交渉の余地も広がっています
造船・鉄鋼業界は技術力が高く、腰を据えて働ける企業が多い一方、業界研究や自分に合う社風の見極めが転職・就職成功のカギになります。新卒・若手なら就活クチコミと選考体験が豊富なワンキャリア、大学院生(修士・博士)・理系学生なら院生特化のスカウト・就職相談サービスアカリク、社会人の転職なら専門のキャリアアドバイザーに相談できるユメキャリ転職のようなサービスを併用すると、ミスマッチを避けやすくなります。気になる方は一度登録・相談してみるのも選択肢の一つです。
▶ どのサービスがいい?と迷ったら:就職・転職おすすめサービス比較【ワンキャリア・アカリク・ユメキャリ】
6. よくある質問(FAQ)
Q1. 「平均年収」と「初任給」は何が違うの?
平均年収はその会社の正社員全員(各年齢・各職種)の年間給与の平均で、有価証券報告書に記載される公式データです。初任給は入社1年目の月給で、採用ページに公表されます。「初任給が高い会社=平均年収も高い」とは限らないため、本記事では2つを別の表に分けています。
Q2. 今治造船やJMUの平均年収は?
両社とも非上場のため、有価証券報告書ベースの公式な平均年収データは存在しません。転職サイト等には推定値が掲載されていますが、算出根拠が不明なものが多く、当ブログでは確認できない数字は掲載しない方針です。確実に分かるのは公表初任給(今治は大卒257,366円・2026年4月実績)までで、それ以上は説明会やOB・OG訪問で確かめるのが確実です。
Q3. ランキング上位の会社に入れば、表の年収がもらえる?
すぐにはもらえません。平均年収はベテランを含む全社平均のため、20代のうちは表の数字より低く、30代後半〜40代で平均前後に到達するイメージが一般的です。また配属部門や職種(総合職・現場職)でも差があります。会社選びでは平均年収と合わせて、初任給・昇給カーブ・賞与実績を見るのがおすすめです。
Q4. 数字はいつ時点のもの?最新版はどこで見られる?
本記事の平均年収は各社の2025年3月期有価証券報告書ベースです(2026年6月提出の2026年3月期分から順次更新される予定で、例えば三菱重工業は約1,072万円に上昇したと報じられています)。有価証券報告書は金融庁のEDINETや各社IRサイトで誰でも無料で閲覧でき、「従業員の状況」の項目に平均年間給与が記載されています。
7. まとめ
- 年収トップは重工大手と日本製鉄──三菱重工業 約1,017万円を筆頭に、日鉄 約905万円が続く(2025年3月期有報ベース)
- 電炉の東京製鐵 約871万円が「隠れ上位」──少数精鋭経営で高炉に迫る水準。知名度と年収のギャップが大きい狙い目
- 専業造船との差は約300万円だが、構造の差──事業ポートフォリオと規模の違いによるもので、生活コスト・賞与込みの「手取り感」では縮まる
- 非上場オーナー系は初任給で比較──常石28.0万円・大島27.4万円・今治25.7万円(今治は1年で2万円アップ)。平均年収は非公表のため推定値に注意
- 数字は「単体・全従業員・年度」を確認してから使う──重工の数字は造船以外を含む。持株会社の数字は実態とズレる。出典と年度の確認がすべての基本
年収は会社選びの重要な物差しですが、「何の平均か」を知らずに比べると簡単に道を誤ります。この記事の表と注意点をセットで持ち帰って、納得のいく業界研究に役立ててください。数値は各社の有報更新に合わせて、今後も定期的にメンテナンスしていきます。
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本記事の出典:各社有価証券報告書(2025年3月期)の「従業員の状況」記載の平均年間給与(三菱重工業・日本製鉄・東京製鐵・IHI・神戸製鋼所・川崎重工業・三井E&S・名村造船所・内海造船。2026年6月〜8月に当ブログで照合。三井E&Sは日本経済新聞の企業情報ページでも照合)、各社公式採用サイト(今治造船・大島造船所、2026年7月時点)、マイナビ2027掲載の採用データ(常石造船・尾道造船・福岡造船、同)、Yahoo!ファイナンス(全証券コードの照合、2026年8月1日閲覧)。本記事は執筆時点の公開情報に基づきます。
本記事は情報提供を目的としており、特定企業への就職・転職や特定銘柄への投資を勧誘するものではありません。平均年収・初任給は公表時点のものであり、個人の年収を保証するものではありません。採用条件は変更されることがあるため、応募の際は必ず各社の最新の募集要項・有価証券報告書をご確認ください。記載内容に基づいて被ったいかなるトラブル・損失についても、情報提供者は一切の責任を負いません。

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