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造船・舶用に関わる人の必修ニュース 2026年7月第1週|日本建造バルカー船価が強含み・政府成長戦略に造船明記・さんふらわあRORO3隻を内海造船で──これだけ押さえれば情報通

造船トピックス
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「業界の人と話すとき、話題に困りたくない」「先週何が動いたか、最低限これだけは押さえておきたい」──そんな造船・舶用業界に関わる方のための、週次キャッチアップ記事です。

本記事は2026年7月3日時点の公開情報(日本海事新聞・商船三井さんふらわあ発表・政府「日本成長戦略」原案・日本船舶輸出組合)をもとに、今週(6月末〜7月第1週)のトピックスを凝縮しました。今週は「バルカー船価の強含み」と「政府成長戦略に造船が明記」が二本柱です。

1. 日本建造バルカーの船価が強含み──NOx規制改正の「駆け込み発注」も

今週の市況面の主役です。上昇後に横ばいが続いていた汎用バルカーの新造船価が、日本建造ベースで2026年度に入り強含みで推移しています(日本海事新聞 7月3日付1面)。各社は2029年の船台をほぼ売り切り、商談の中心は30年納期に移行。足元の日本建造の船価水準は以下の通りです。

船型新造船価(日本建造)
40型ハンディサイズ(4万重量トン)約3,300万〜3,400万ドル
64型ウルトラマックス(6万重量トン級)約3,800万〜3,900万ドル
82型カムサマックス(8万重量トン級)約4,200万〜4,300万ドル
180型ケープサイズ約7,000万ドル台後半

注目は6月前後に、この時期に希少な「28年納期」の期近枠で、64型が4,200万〜4,300万ドルの高値成約となったこと(先週お伝えした「リーマン後最高値」の流れが続いています)。背景には2つの規制要因があります。①昨年10月のIMO臨時会合でGHG削減の「IMOネットゼロフレームワーク」の採択が見送られ、従来燃料船の引き合いが増加したこと。②NOxテクニカルコード改正(対象は28年以降にEIAPP証書が発行されるエンジン)を受け、旧ルールのエンジン搭載船(29年12月31日までに証書取得が必要)を求める駆け込み発注が29年末〜30年初納期に集中し、造船各社は該当枠を今春までに売り切ったとみられることです。

造船サイドの声も強気です。「調整局面がどこかであると感じている」という慎重論の一方、「手持ち工事量が3年半程度もある中で、安売りする要素は全くない」(新造船営業担当)。中東情勢による石油関連資機材への影響も、価格・入手性の支障はあるものの引き渡しの遅延は発生していないとしています。

📌 受注は「4〜6万重量トン級」に集中
日本船舶輸出組合の集計では、2025年度の輸出船契約191隻のうち、4万〜6万重量トン級(ハンディサイズ・ウルトラマックス)が61%を占めました(前年度52%から一段と集中)。背景の一つは価格差で、8万重量トン級カムサマックスの新造船価はウルトラマックスを約400万ドル上回り割高感があるとされます(日本海事新聞 7月6日付1面)。「日本の得意サイズに需要が寄る」構図は、造船会社ランキングの各社動向を読む上でも重要です。

ウルトラ人気の理由は船価だけではありません。足元のスポット用船料はカムサマックス1万9,758ドルに対し、船型の小さいウルトラマックスが2万1,168ドルと「逆転」しており、25年度平均でも約200ドルの逆転が恒常化。ウルトラは荷役クレーン(ギア)付きで新興国の港にも対応でき、マイナーバルクの荷動きやパナマ運河の通航制限によるトレード多様化が汎用性の高い同船型の追い風になっています。一方で「ギアのないカムサは船舶管理コストが軽い」(船主経営者)と、カムサ投資を続ける国内船主も。中国勢(恒力重工など)はそのカムサをロット受注しており、クラークソンズ統計の中国ベース船価はウルトラ3,500万ドル・カムサ3,800万ドルと日本より1割程度安い──日中の棲み分けが進む構図です(日本海事新聞 7月6日付)。

2. 政府「日本成長戦略」原案に造船を明記──LNG船は需給協働で年3〜5隻へ

政策面の大きな一歩です。政府が6月30日に公表した「日本成長戦略」の原案に、戦略17分野の一つとして「造船」が盛り込まれました(日本海事新聞 7月3日付)。官民投資ロードマップで掲げたLNG運搬船の国内建造「2035年以降 年3〜5隻」の達成に向け、需要サイド(荷主・海運)と供給サイド(造船)の協働で供給体制を構築する方針。LNG船の国内建造は「自律性の確保という経済安全保障の観点から重要」と明確に位置づけられました。原案は、LNG船建造に不可欠な防熱技術・低温技術が液化水素など新しい輸送技術にも応用できる点を重視し、同志国の建造ノウハウの戦略的な組み合わせや、設計・建造人材の教育研究体制の整備も掲げています。

成長戦略の造船分野はLNG船だけではありません。ゼロエミッション船・自動運航船などの「次世代船舶」は2035年ごろに建造需要の6割に達すると見込み、「日本造船業が大きく飛躍できるゲームチェンジの機会」と明記。船舶修繕ではドックの実態把握や官公庁船の修繕時期平準化を進め、港湾荷役機械では2040年ごろに米国市場でシェア3割獲得という具体的な数値目標まで盛り込まれました。

関連して、金子国交相は経済安全保障推進本部の初会合で造船基金による船舶の安定供給に言及(6月30日付)。海事局は海事産業強化法に基づき造船3事業者の計画を認定しました(7月6日付)。また、6月の業界団体総会シーズンでは、国交省海事局幹部のあいさつで「造船業再生基金」の利用に向けた事業者からの相談が相次いでいることが紹介され、大規模造船だけでなく中小の造船会社も基金を利用できることがアピールされました(日本海事新聞 7月6日付・ニュース深読み)。基金は「大手のためのもの」ではなく、裾野の中小まで含めた底上げ策として動き始めています。先週の官民投資工程表から、政策の実装が着々と進んでいます。経緯は前週の必修ニュース、全体像は造船業界の将来性 2026年最新版をどうぞ。

3. さんふらわあ、RORO船3隻を内海造船で代替建造──積載20%増・バイオ燃料も検討

国内の具体的な新造案件です。商船三井さんふらわあは6月29日、東京〜九州航路のRORO船4隻のうち3隻を新造船へ更新すると発表しました。建造は内海造船が担い、2029年上半期をめどに順次就航予定。新造船はセミトレーラー(13m換算)約190台を積載でき、現行(160台)比で輸送力約20%増。燃料にはバイオディーゼルの採用も検討されています(商船三井さんふらわあ発表・日本海事新聞 6月30日付)。

⚠️ ここがポイント
フェリー・RORO業界は2028年前後に代替期のピークを迎えるとされ、今回の3隻一括発注はその象徴。フェリー・RORO建造に強い内海造船(7018)にとって追い風の受注です。同社の会社解説は内海造船を買ってみる?!でどうぞ。

4. 海洋開発・次世代燃料も前進──MODEC×住重のFPSO、バルチラの水素連合

造船の「船」以外の分野でも、今週は日本勢の存在感を示すニュースがありました。三井海洋開発(MODEC)は7月2日、住友重機械工業に発注していたFPSO(浮体式石油生産・貯蔵・積み出し設備)「FPSO Gato do Mato」の船首セクションが完成したと発表。製造は住重の100%子会社・住重マリンエンジニアリングが担当し、船首は日本を出港、中国で建造中の船尾セクションと統合して次の建造段階へ進みます(日本海事新聞 7月3日付1面)。一般商船から撤退した住重グループが、大型構造物・海洋分野で「ものづくり」を続けていることを示す象徴的な案件です。

次世代燃料では、欧州舶用大手バルチラが水素コンソーシアム「MatH2」を立ち上げ(6月25日発表)。究極のゼロエミッション燃料と期待されるクリーン水素の安全な貯蔵・輸送方法の確立を目指します(同 7月3日付)。国内でも三菱造船がアンモニア燃料機関の工場向けハンドリングシステムを受注(7月1日付)しており、水素・アンモニアの「造る・運ぶ・使う」の基盤づくりが内外で同時進行しています。

📌 ここはチェック
脱炭素関連は「船の受注」より先に、機器・設備・認証の整備が動きます。日本海事協会(NK)が建造時のGHG排出に関するノーテーション(船級付記)を新設したのも今週のニュース(6月30日付)。造る過程のCO2まで評価される時代が始まりつつあります。

5. その他、今週の小ネタ

  • サムスン重工がタンカー2隻受注──1隻約8,828万ドル(日本海事新聞 7月6日付)。韓国勢の船価水準を測る材料に
  • 川崎汽船のLNG船 姉妹2隻が竣工──ペトロナスに長期用船(7月3日付)
  • AYK、伊グリマルディ向けに舶用蓄電池を受注(7月3日付)──電動化・ハイブリッド化の裾野が拡大
  • かもめプロペラ、サイドスラスター累計生産5,000台達成(7月1日付)
  • 海事局、海事産業強化法に基づき造船3事業者の計画を認定(7月6日付)

5. 今週の用語解説──ニュースを読み解くキーワード

NOxテクニカルコード改正(駆け込み発注)とは

船のエンジンから出るNOx(窒素酸化物)の認証ルール(テクニカルコード)の改正のこと。改正後の適用を避けたい船主が、旧ルールのうちに発注を済ませる「駆け込み発注」が起きやすく、今回のバルカー船価を下支えした一因とされます。

ハンディサイズ/ウルトラマックス/カムサマックスとは

ばら積み船のサイズ区分。ハンディサイズ(約4万重量トン)→ウルトラマックス(約6万)→カムサマックス(約8万)の順に大きくなります。日本の造船所は4〜6万トン級(ハンディ〜ウルトラ)を得意とし、2025年度は受注の61%がこの帯に集中しました。

期近納期(きぢかのうき)とは

近い時期に引き渡せる「早い納期枠」のこと。好況期は各社の船台が数年先まで埋まるため期近枠は希少になり、プレミアム価格(高値)で成約しやすいのが特徴です。

EIAPP証書とは

International Air Pollution Prevention=国際大気汚染防止「原動機」証書。船のエンジンがNOx規制に適合していることを示す証書で、船級協会が発行します。今回のNOxテクニカルコード改正では「28年以降に証書が発行されるエンジン」から確認方法が厳格化されるため、旧ルールで証書を取れる納期(29年12月31日まで)の船に駆け込み需要が生まれました。

IMOネットゼロフレームワーク(IMO NZF)とは

IMO(国際海事機関)が検討するGHG排出削減の中期対策(燃料規制などの技術的手法+課金などの経済的手法)の枠組み。2025年10月の臨時会合で最終合意(採択)が見送られ、規制の先行きが不透明になったことで、「いま従来燃料船を発注しておこう」という動きが強まりました。規制の行方は今後の発注動向を左右する最重要ウォッチ項目です。

FPSO(浮体式石油生産・貯蔵・積み出し設備)とは

洋上で原油を生産(Production)・貯蔵(Storage)・積み出し(Offloading)する浮体式の設備。船の形をした「海に浮かぶ石油プラント」で、三井海洋開発(MODEC)は世界大手の一角。船体ブロックや大型セクションの製造は、造船所の重要な仕事の一つです。

まとめ──今週の3行サマリ

  • 日本建造バルカーの船価が強含み──期近納期で近年最高値の成約も。NOx改正の駆け込み発注が下支え。受注は4〜6万トン級に61%集中
  • 政府成長戦略に「造船」明記──LNG船国内建造(35年以降 年3〜5隻)を経済安保と位置づけ、需給協働で体制構築へ。強化法の3事業者認定も
  • さんふらわあがRORO3隻を内海造船に──積載20%増・バイオ燃料検討・2029年就航へ

👀 来週以降の注目──①日本船舶輸出組合の6月受注統計(駆け込み後の反動が出るか)、②概算要求(8月末)に向けたLNG船国内建造の支援策の具体化、③成長戦略の閣議決定と造船関連の最終的な書きぶり。政策イベントが夏の主役になります。

市況(船価)と政策(成長戦略)の両輪が前に進んだ1週間でした。これだけ押さえておけば、明日の打ち合わせや業界人との会話で恥をかかずに済むはずです。

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本記事の出典:日本海事新聞 電子版(2026年6月30日〜7月6日付:バルカー船価強含み/ウルトラ・ハンディ集中61%/政府成長戦略に造船/金子国交相・経済安保推進本部/海事産業強化法3事業者認定/サムスン重工受注ほか)、商船三井さんふらわあ発表(6月29日:RORO3隻代替建造)、日本船舶輸出組合集計。本記事は執筆時点の公開情報に基づきます。詳細は各公式発表をご確認ください。

⚠️ 注意点
本記事は業界動向の情報整理を目的としたものであり、特定企業への投資や取引を推奨するものではありません。

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