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造船・舶用に関わる人の必修ニュース 2026年6月第4週|国産LNG船「年3〜5隻・2035年以降」官民工程表・さくらオーシャンが国内3社と建造契約──これだけ押さえれば情報通

造船トピックス
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「業界の人と話すとき、話題に困りたくない」「先週何が動いたか、最低限これだけは押さえておきたい」──そんな造船・舶用業界に関わる方のための、週次キャッチアップ記事です。

本記事は2026年6月26日時点の公開情報(日本海事新聞・海事プレス・日本経済新聞・常石造船など各社発表・国土交通省)をもとに、今週(6月第4週)の造船トピックスをまとめました。今週は「国産LNG運搬船の建造再開」が具体的な数字(年3〜5隻)に落ちてきたのが最大の動きです。これだけ読めば打ち合わせや雑談で「情報通だね」と言ってもらえる内容を目指しています。

1. 国産LNG運搬船「年3〜5隻・2035年以降」──官民投資の工程表に明記へ

先週、造船工業会の檜垣会長が言及したLNG(液化天然ガス)運搬船の国内建造再開が、今週は政府の計画として具体化しました。政府が6月24日に公表した官民投資ロードマップ(工程表)案で、造船分野の目指すべき姿として「2035年以降に年3〜5隻程度の安定供給体制の構築」を掲げたのです(日本海事新聞 6月26日付)。

これを受け、国土交通省海事局も2027年度予算の概算要求でLNG船の国内建造再開につながる施策を盛り込むことを視野に入れています。新垣慶太海事局長は6月25日の会見で、「概算要求までに関係省庁や関係業界との検討を進め、課題克服のための枠組みを整理したい」と述べました。工程表案では造船分野として「LNG運搬船」のほか「次世代船舶」(34年度までに官民投資1兆円)、「船舶修繕」(35年度までに同0.1兆円・特定国依存の解消)も対象に挙げています。

⚠️ なぜ難しい?──課題は「メンブレン型」と人材
工程表案は再開の課題も整理しています。LNG船のタンク(CCS=カーゴ・コンテインメント・システム)は現在フランスGTT社のメンブレン方式が世界標準。日本が得意だった球形の「モス方式」は主流から外れ、メンブレン型を国内で建造したのは今治造船の2018年が最後です。設計・建造ノウハウやサプライチェーンが途絶え、設計・建造の双方で1000人規模の人材育成が必要。支援先として建造実績のある韓国造船やGTT(ライセンス料は船価の5%)が候補に挙がりますが、いずれもコストや輸出規制の調整が伴います。

海運側も足並みをそろえています。日本船主協会の長澤仁志会長(日本郵船会長)は6月26日の総会後会見で「日本の海運会社も役割を果たさないといけない」とした一方、「われわれは世界マーケットで競争している。国際マーケットのプライス(船価)と品質であることが発注の条件。それが満たされれば、日本の造船会社への発注をためらわない」と語りました(日本海事新聞 6月29日付)。タンク方式については「建造するならクリアにメンブレン」と明言。造る側(造船工業会・檜垣会長)と使う側(船主協会・長澤会長)の双方が、メンブレン型での再開という方向で足並みをそろえつつあるのが、今の局面の最重要ポイントです。

📌 ここはチェック
「年3〜5隻」という控えめな数字は、サプライチェーンも採算も乏しい中で“できる範囲”から再開するという現実的な意思表示。海事新聞の解説も「LNG運搬船の建造再開は、今後の日本造船業の在り方を問う試金石」と位置づけています。先週の議論の流れは前週の必修ニュース、業界全体の構造は造船業界の将来性 2026年最新版で解説しています。

2. さくらオーシャン、国内3社とバルカー建造契約──常石42型・今治/尾道40型

足元の受注では、船主会社「さくらオーシャン」が国内造船3社とばら積み船(バルカー)の建造契約を締結しました(6月17日調印、日本海事新聞 6月23日付)。内訳は常石造船に42型1隻、今治造船に40型1隻、尾道造船に40型1隻で、いずれも2030年までに引き渡し予定です。

さくらオーシャンは、正栄汽船・尾道造船・神原汽船・ソメックが共同出資して2026年1月に設立した船主会社で、これが設立後初の新造船プロジェクト。国内海運会社などへの定期用船を通じ、安定した海上輸送サービスを提供します。船主と造船所が一体で“国内建造”を支える座組みとして注目される動きです。

3. 人材確保・生産性向上の動きが活発に

増産に向けた最大の壁である人手不足と生産性への取り組みも、今週は複数報じられました。

  • 生産性向上──大阪大学のOCEANSシンポジウムで、「BRIDGE」150億円規模の予算を活用し、AI・次世代ロボットによる造船の生産性向上を進める方針が示された(6月26日付)
  • 人材育成──向島ドックが、協定を結んだ尾道学園と初の教育連携プログラムを開始(6月26日付)
  • 業界節目──日本舶用工業会が設立60周年を迎え、木下会長が「持続的発展へ」とパーティーで決意(6月23日付)

また6月は役員改選シーズンでもあり、今治造船・日本シップヤード(NSY)・新来島どっくなどが新役員体制を発表しました。

4. その他、今週の動き

  • 日本建造船は高値・好況続く──日本海事新聞(6月23日付)によると、日本の造船所が64型バルカーを短納期ながら約4,250万ドルで受注(2028年竣工)。リーマン・ショック後の最高値水準で、国内建造の採算改善が続いていることを示す
  • 中国造船の受注継続──黄埔文冲が中型コンテナ船13隻をJOSCO・Pドールなどから受注(6月24日付)。中国勢の勢いは依然強い
  • 進水──内海造船瀬戸田工場でRORO船「FORESIGHTER」が進水(6月22日付)
  • 旭洋造船 新社長──相場裕道氏が社長COOに昇格、越智勝彦社長は会長CEOに(6月29日付)

5. 今週の用語解説──ニュースを読み解くキーワード

官民投資の工程表(ロードマップ)とは

政府が成長分野で、官(国)と民(企業)がいつ・いくら・何に投資するかを時系列で示した計画のこと。今回はその中に「国産LNG船を2035年以降に年3〜5隻」という具体目標が盛り込まれる見通しで、抽象的な“再開検討”が数字付きの計画に進んだことを意味します。

概算要求とは

各省庁が翌年度に必要な予算を財務省へ要求する手続き(通常8月末)。海事局が「概算要求を視野に」とは、LNG船建造再開の支援策に国の予算を付けにいく段階に入りつつある、ということです。

メンブレン方式/モス方式とは

LNG運搬船の貨物タンク(CCS)の方式。メンブレン方式は船体内側に金属の薄膜を貼ってタンクにする方式で、材料費が安く幅広い港に入港でき、いまや世界標準(仏GTT社が開発)。モス方式は甲板上に球形タンクを並べる方式で、かつて日本が得意としましたが、現在の主流から外れています。日本がLNG船建造を再開する場合は、経験の少ないメンブレン方式が前提になります。

定期用船(ていきようせん)とは

船主が船を一定期間、海運会社などに貸し出す契約。さくらオーシャンのような船主会社は、造船所に発注した船を建造後に定期用船で貸し出すことで、安定収入を得つつ国内建造を下支えします。

RORO船とは

Roll-on/Roll-offの略で、トラックやトレーラーが自走で乗り降りできる貨物船。クレーンで荷を積む通常の貨物船と違い、車両をそのまま積めるため、国内物流(モーダルシフト)でも重要な船種です。

まとめ──今週の3行サマリ

  • 国産LNG船が「年3〜5隻・2035年以降」へ──官民投資の工程表に明記の見通し。今治造船・川崎重工・名村造船所が共同、海事局は概算要求も視野
  • さくらオーシャンが国内3社と建造契約──常石42型・今治/尾道40型のバルカー、2030年までに引き渡し。船主と造船所が一体で国内建造を支える
  • 人材・生産性の取り組みが活発──BRIDGE150億円でAI・ロボット、向島ドック×尾道学園の教育連携、日舶工60周年

今週は、先週の「LNG船建造再開」議論が年3〜5隻という具体目標に進み、足元では船主会社と造船所が手を組む契約も生まれた1週間でした。これだけ押さえておけば、明日の打ち合わせや業界人との会話で恥をかかずに済むはずです。引き続き毎週このシリーズで「業界人の必修ニュース」をお届けします。

本記事の出典

  • 📰 日本海事新聞 電子版(2026年6月22日〜29日付)──官民投資工程表 国産LNG船 年3〜5隻/船協・長澤会長「メンブレン一択」会見/さくらオーシャン建造契約/日本建造船の高値受注(64型4,250万ドル)/阪大OCEANSシンポ・向島ドック教育連携・日舶工60周年/黄埔文冲受注/内海造船RORO船進水/旭洋造船など各社新役員体制
  • 📄 日本経済新聞・海事プレス(今治造船・川崎重工・名村造船所のLNG船共同建造、官民投資ロードマップ)/常石造船 公式発表(さくらオーシャン向け3隻建造契約)/国土交通省

本記事は2026年6月26日時点の公開情報に基づいています。各計画・契約の詳細や最新の進捗は、必ず各社・各機関の公式発表をご確認ください。

⚠️ 注意点
本記事は業界動向の情報整理を目的としたものであり、特定企業への投資や取引を推奨するものではありません。記載内容は執筆時点の公開情報に基づき、今後変更される可能性があります。

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