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IHI(7013)の株価・配当・今後を徹底解説|航空エンジンと防衛・原子力で過去最高益へ、JMUに20%出資する重工大手を決算資料で読む・2026年10月版

決算・銘柄まとめ
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旅客機のエンジン、防衛、原子力、橋、そしてかつては船──。IHI(7013)は、三菱重工・川崎重工と並ぶ重工大手3社の一角です。いまの稼ぎ頭は民間航空機のエンジン部品とスペアパーツで、2027年3月期は前期に続いて過去最高益を更新する見通しです。一方で、利益の一部を東京都江東区に持つ不動産の売却で稼いでいる点や、株価が年初来高値から大きく下がっている点など、数字の読み方に注意が必要な銘柄でもあります。本記事では、決算短信・決算説明資料・中長期の方向性(PDF原本)を直接確認したうえで、事業の中身・株価指標・配当・造船とのつながりを、造船・鉄鋼ブログの目線で徹底解説します。

数値はすべて一次資料ベース、投資スタンスに関わる部分は「個人的な意見」と明示して書き分けます。

※本記事は2026年10月16日終値時点の公開情報(IHI「2027年3月期 第1四半期決算短信〔IFRS〕(連結)」・「2026年度第1四半期決算説明資料」〔いずれも2026年8月5日発表〕、「2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)」〔2026年5月8日発表〕、「中長期の方向性」〔2026年5月8日〕、固定資産の譲渡などの各お知らせ、Yahoo!ファイナンスほか)に基づきます。株価・指標は変動します。決算ごとに内容を更新予定です。

📖 この記事の目次(クリックでジャンプ)

IHI(証券コード7013・東証プライム、井手博社長、本社・東京都江東区豊洲)は、4つの報告セグメントで事業を展開しています。前期(2026年3月期)の実績と、今期(2027年3月期)の会社見通しを並べるとこうなります。

セグメント主な事業前期 売上収益前期 営業利益今期見通し 営業利益(利益率)
航空・宇宙・防衛民間航空エンジン、防衛向け航空エンジン・装備品、宇宙6,517億円1,124億円1,370億円(15.7%)
資源・エネルギー・環境原動機、カーボンソリューション(ボイラなど)、原子力3,767億円59億円330億円(8.5%)
産業システム・汎用機械車両過給機、パーキング、回転機械、熱・表面処理など4,505億円307億円300億円(6.8%)
社会基盤橋梁・水門、シールドシステム1,319億円37億円70億円(6.4%)
合計(その他・調整含む)─1兆6,434億円1,655億円2,500億円(13.6%)
出典:IHI 2026年度第1四半期決算説明資料(報告セグメント別内訳、今期見通しは8月5日の修正後)

ひと目で分かるのは航空・宇宙・防衛の圧倒的な存在感です。前期の営業利益1,655億円のうち、このセグメントだけで1,124億円を稼ぎました。IHI自身も事業を、成長事業(民間航空エンジン・防衛・原子力)、安定収益事業(資源・エネルギー・環境、社会基盤、産業システム・汎用機械の各分野)、育成事業(アンモニア・宇宙)の3つに分けて位置づけています(第1四半期決算短信)。かつて造船を手がけていた会社ですが、いまは空とエネルギーの会社と捉えるのが実像です(この表現は筆者の見立てです)。

IHIは事業の入れ替えも進めています。前期には交通システム、コンクリート建材、運搬機械、芝草・芝生管理機器の各事業を譲渡し(決算説明資料)、9月28日にはドイツの子会社Steinmüller Engineering GmbHの全持分を譲渡することを決めました。欧州の火力発電関連投資が脱炭素や廃棄物発電へ大きく移り、同社が想定していた事業機会が縮小したためで、海外のカーボンソリューション事業の構造改革の一環と説明しています(同社「ドイツ子会社Steinmüller Engineering GmbHの持分の譲渡に関するお知らせ」)。一方で、エネルギー・社会基盤・産業機械の各事業では、納入後の保守や部品販売などのライフサイクルビジネスの売上が、2019年度の1.65倍(2026年度見通し)まで伸びる計画です(第1四半期決算説明資料)。

指標(2026年10月16日終値時点)数値
株価(終値)2,526.5円(前日比+5.01%)
最低投資金額(100株)約25万2,650円
時価総額約2兆7,356億円
予想PER(当ブログ計算)約15.6倍
PBR(実績・Yahoo!ファイナンス)3.85倍
予想配当利回り(当ブログ計算)約0.91%(年23円)
ROE(実績・Yahoo!ファイナンス)28.39%
親会社所有者帰属持分比率(6月末)28.3%
年初来高値/安値4,698円(2月10日)/2,245円(6月11日)
出典:株価・時価総額・PBR・ROE・年初来高安はYahoo!ファイナンス(10月16日終値時点)。PERは決算短信の修正後の予想EPS161.67円、利回りは予想配当23円からの単純計算

値動きの現在地を確認すると、2月10日に年初来高値4,698円を付けた後に大きく調整し、6月11日の安値2,245円を経て、足元の2,526.5円は高値から約46%下・安値から約13%上の水準です(当ブログ計算)。予想PERは約15.6倍と、重工3社の中では川崎重工と並んで低め。一方でPBRは3.85倍と高く、これは前期のROE28.39%という高い資本効率(ただし不動産売却益などを含む)を市場が評価している形です(この読みは筆者の見立てです)。

株主構成では、米国の投資顧問会社キャピタル・リサーチ・アンド・マネージメント・カンパニーとその共同保有者が、2026年4月16日時点で議決権の9.03%を保有しています。1月には10%を超えて主要株主になり、4月に10%を下回りました(同社「主要株主の異動に関するお知らせ」2月3日・4月23日)。海外の大手運用会社の売買が株価に影響しやすい銘柄でもあります。

項目(IFRS・連結)27年3月期 1Q前年同期増減
受注高3,607億円4,243億円▲15.0%
売上収益3,745億円3,377億円+10.9%
営業利益732億円208億円+250.5%
うち不動産売却益を除く営業利益331億円208億円+123億円
親会社帰属四半期利益535億円116億円+361.3%
出典:第1四半期決算短信・決算説明資料(2026年8月5日発表)

1Qの営業利益732億円には、東京都江東区の不動産の一部譲渡に伴う400億円の利益が含まれます。ただ会社は、不動産売却益を除いても第1四半期としては過去最高益だったと説明しています。民間航空エンジンや原子力の需要拡大、国内のカーボンソリューション・原動機などのライフサイクルビジネス(納入後の保守・部品販売など)の拡大、車両過給機の採算改善が寄与しました(決算短信・説明資料)。受注高が減ったのは、エネルギー事業で前期にあった大型案件の反動です。

通期見通し(27年3月期)5月の期初予想8月5日の修正後前期実績
受注高1兆7,600億円1兆7,700億円1兆9,547億円
売上収益1兆8,300億円1兆8,400億円1兆6,434億円
営業利益2,400億円2,500億円1,655億円
うち不動産売却益900億円930億円224億円
親会社帰属当期利益1,650億円1,720億円1,609億円
予想EPS155.09円161.67円151.88円
出典:決算説明資料(2026年8月5日)、2026年3月期・第1四半期決算短信。2Q以降の前提為替レートは1ドル=145円

8月5日の修正は、航空・宇宙・防衛セグメントの1Qの実績(民間エンジン)などを反映したもので、受注高・売上収益・営業利益をそれぞれ100億円、当期利益を70億円引き上げました。会社は前期に続いて過去最高益を更新する見通しとしています。なお、為替が1円動くと2〜4Qの営業利益に約15億円の影響が出る(ドル)と開示しています(説明資料)。

IHIの数字を読むうえで欠かせないのが不動産売却益です。会社は、資産効率の改善や財務基盤の強化、成長事業への先行投資の原資確保を目的に、計画的に不動産の売却を進めています(第1四半期決算短信)。今年に入って公表した主な譲渡は次のとおりです。

公表日譲渡資産(すべて東京都江東区)譲渡益(概算)計上時期
2026年3月27日建物・土地の持分(賃貸用不動産)約175億円26年3月期に約87億円、27年3月期に約88億円
2026年4月20日建物・土地の持分2件(賃貸用不動産)約393億円27年3月期
2026年6月12日土地(賃貸用不動産)約146億円27年3月期(12月に所有権移転予定)
出典:IHI「固定資産の譲渡および譲渡益の計上に関するお知らせ」(各日付)。譲渡価額・譲渡先は非公表

今期の営業利益見通し2,500億円のうち、不動産売却益は930億円。割合にすると約37%です(当ブログ計算)。不動産売却益を除いた営業利益は1,570億円(利益率8.5%)で、前期の同じ基準(1,431億円)からは約1割の増益という計算になります(説明資料の数値から当ブログ計算)。

📌 ここはチェック

不動産売却益は毎年続く利益ではありません。「過去最高益」の見出しだけで判断せず、不動産売却益を除いた営業利益が伸びているかを見るのが、IHIの業績を読むコツです。会社自身も決算説明資料で「不動産売却除く営業利益」を別に示しています(後段は筆者の見立てです)。

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年間配当(1株当たり)決算短信の表記分割後ベースに換算(当ブログ計算)
2025年3月期 実績120円(中間50円+期末70円・分割前)約17.1円
2026年3月期 実績中間70円(分割前)+期末10円(分割後)20円(会社開示)
2027年3月期 予想23円(中間11.5円+期末11.5円)23円(配当性向14.8%)
出典:2026年3月期決算短信・第1四半期決算短信。2026年3月期の分割後ベース20円は第1四半期決算短信の注記による

IHIは2025年10月1日付で1株を7株に分割しました。そのため、分割をまたぐ配当は数字の見た目が大きく変わります。分割後ベースで並べると、約17.1円→20円→23円(予想)と増配が続いている形です。

配当の方針は、安定的に配当を実施することを基本とし、企業価値向上のための投資や自己資本の充実・強化などを総合的に考えて決めるというものです(2026年3月期決算短信)。5月に公表した「中長期の方向性」では、2026〜2028年度を成長領域への先行投資を優先する期間(フェーズ1)と位置づけ、株主還元は安定配当を基本に1株あたり配当を持続的に成長させる、営業キャッシュフローが伸びるフェーズ2(2029年度〜)以降に株主還元のさらなる拡大を目指すとしています。配当性向14.8%・利回り約0.9%は配当で稼ぐ銘柄ではないものの、還元強化は数年後の宿題として明示されています。

航空・宇宙・防衛の内訳(売上収益)前期実績今期見通し1Q(前年同期)
民間エンジン3,786億円4,800億円1,085億円(894億円)
防衛向け航空エンジン・装備品2,121億円3,000億円366億円(289億円)
宇宙352億円550億円25億円(40億円)
セグメント合計6,517億円8,700億円1,547億円(1,279億円)
出典:2026年度第1四半期決算説明資料(報告セグメント別決算実績・見通し)

■ 民間エンジン──新製よりもスペアパーツで稼ぐ
IHIは、小型から大型・超大型クラスまでのベストセラーの民間航空機エンジンの開発・量産事業に参画しています(決算短信)。説明資料によると、民間エンジン事業の売上の約6割はスペアパーツで、新製エンジンは約3割、整備(MRO)は1割弱です。エンジンは納入後も長年にわたって部品交換や整備が必要になるため、世界の航空機が飛べば飛ぶほど部品が売れるストック型の収益構造です。1Qは「PW1100G」「V2500」などのエンジン向けの販売が伸び、会社は中東情勢による顕著な影響は確認されていないとしています(説明資料)。

民間エンジン事業の売上収益の推移金額
2022年度2,014億円
2023年度2,530億円
2024年度3,507億円
2025年度3,836億円
2026年度(見通し)4,800億円
出典:2026年度第1四半期決算説明資料(PW1100G-JMエンジン追加検査プログラムの影響を除いた数値のため、上のセグメント内訳表とは一致しません)

民間エンジンの売上は4年で約2.4倍に伸びる見通しです(当ブログ計算)。新型コロナで航空需要が落ち込んだ時期から、世界の航空機の運航回復とともに部品需要が戻り、IHIの業績を押し上げてきたことが数字から分かります。

■ 防衛──下期に航空エンジン・ロケットモーターが拡大
防衛向けの売上は前期2,121億円から今期3,000億円へ、約1.4倍に増える見通しです。会社は下期に航空エンジンやロケットモーターの受注・売上が拡大するとみています(説明資料)。中長期の方向性では、防衛予算の拡大(GDP比1%→2%)を市場動向に挙げ、固体ロケットモーターの増産対応やUUV(無人水中航走体)事業の拡大を取り組みに掲げています。

■ 原子力──再稼働・再処理の国内需要と海外の新設
資源・エネルギー・環境セグメントの原子力は、前期の売上576億円から今期750億円を見込みます(説明資料)。IHIは、原子力発電所の圧力容器などの重要機器で「世界有数の製造技術・能力」を持ち、再処理の分野ではガラス固化技術を「国内唯一の技術」と説明しています(中長期の方向性)。国内の再稼働・再処理の需要を取り込みながら、海外の新設案件の獲得に向けて生産能力を増強する方針です(第1四半期決算短信)。

■ JMUの株主として造船とつながる
IHIの造船部門は、2013年にJFEホールディングス系のユニバーサル造船と統合し、ジャパンマリンユナイテッド(JMU)になりました。2026年1月に今治造船がJMUを子会社化した後も、IHIはJMU株の20%を持ち続けています(JMU公式サイトの会社概要)。今治造船の檜垣幸人社長は、JMUの株主であるJFEホールディングスとIHIについて「JFEHDは鋼材などで、IHIは防衛分野でそれぞれ関係がある」と述べ、LNGやアンモニア、水素など船舶の新燃料分野ではプラントメーカーが持つ化学の知識が必要だとして、両社との関係を強化していく考えを示しています(日本海事新聞2026年1月7日付)。JMUの株は市場で買えないため、IHIはJMUに間接的に投資できる数少ない上場銘柄の1つです。詳しくはJMUの株価はある?株は買える?で解説しています。

⚠️ ただし過度な期待は禁物

JMUはIHIにとって持分法適用会社で、利益の取り込みは出資比率に応じた一部です。IHIの営業利益は航空エンジンが中心で、「造船が好調=IHIの株価が上がる」と直結するわけではありません(筆者の見立て)。造船株そのものに投資したい方は、上場造船会社の名村造船所(7014)や内海造船(7018)の銘柄ガイドもどうぞ。

■ 2040年に向けた「中長期の方向性」──3つのフェーズ
IHIは2026年5月、2040年に向けた中長期の方向性を公表しました。2026〜2034年度を3つのフェーズに分け、段階的に利益とキャッシュを大きくしていく計画です。

フェーズ期間位置づけ営業利益率の目安3年間の累計営業CF
(実績)2023〜2025年度事業構造改革・ポートフォリオ改革10.1%(2025年度)3,611億円
フェーズ12026〜2028年度先行投資・財務基盤強化(累計投資額6,500億円)10〜13%3,500億円
フェーズ22029〜2031年度営業利益・営業CFの拡大13%以上7,000億円以上
フェーズ32032〜2034年度フリーキャッシュフローの拡大15%以上1兆円以上
出典:IHI「中長期の方向性」(2026年5月8日)。フェーズ3の経営指標はほかにROIC13%以上、売上収益の年平均成長率5%以上(2025〜2035年度)

注目したいのは、フェーズ1の3年間は累計投資額(6,500億円)が累計営業CF(3,500億円)を上回る計画になっている点です。不動産売却などで不足分を補いながら、民間エンジン・防衛・原子力の生産能力を広げる──今は種まき、収穫は2029年度以降という設計です(この要約は筆者の見立てです)。中期の利益拡大を待てるかどうかが、この銘柄を持つうえでの分かれ目になります。

重工3社の最新の立ち位置を並べます。数値はすべてYahoo!ファイナンス(2026年10月16日終値時点)です。

指標IHI
(7013)
三菱重工
(7011)
川崎重工
(7012)
株価2,526.5円3,796円2,282.5円
10月16日の値動き+5.01%+5.42%+6.41%
時価総額約2.7兆円約12.8兆円約2.0兆円
予想PER15.57倍33.57倍16.59倍
PBR(実績)3.85倍4.02倍2.16倍
予想配当利回り0.91%0.76%1.75%
ROE(実績)28.39%12.22%13.68%
自己資本比率(実績)26.9%37.3%26.4%
最低購入代金約25.3万円約38.0万円約22.8万円
出典:Yahoo!ファイナンス(2026年10月16日終値時点)。IHIのROEには不動産譲渡益の押し上げが含まれる点に注意

IHIはPERが3社で最も低く、ROEは最も高いという組み合わせです。ただしROEの高さには不動産売却益が効いており、その分を割り引いて見る必要があります。三菱重工はGTCC・防衛・原子力の成長ストーリーにPER約34倍という別格の評価、川崎重工は利回りと購入しやすさで優位──と、3社の個性ははっきり分かれます。航空エンジンのアフターマーケットに賭けるならIHIという整理になりそうです(この整理は筆者の見立てです)。三菱重工・川崎重工の詳しい分析は三菱重工の銘柄ガイド・川崎重工の銘柄ガイドをどうぞ。

※ここから先は、公開情報をもとにした筆者の個人的な意見・見立てです。投資判断はご自身の責任でお願いします。

IHIの投資ストーリーは民間航空エンジンのスペアパーツという、長く続く収益源をどこまで伸ばせるかです。世界の航空需要が伸びる限り部品の需要も続き、防衛と原子力という国策テーマも重なります。PER約15.6倍は重工3社で最も控えめで、年初来高値から約46%下がった株価には、期待の一部がすでに剥げ落ちています。個人的なスタンスは本業の稼ぐ力は伸びている。ただし不動産売却益と先行投資期間を割り引いて、分割で少しずつ拾う中立〜やや前向きです。

😊 強み(筆者の意見)
  • 民間エンジンのスペアパーツ──売上の約6割を占めるストック型の収益。世界の航空機が飛ぶほど稼ぐ
  • 防衛・原子力という国策テーマ──防衛向けは今期約1.4倍、原子力も増収見込み
  • 不動産売却益を除いても1Qは過去最高益──本業の稼ぐ力そのものが改善
  • 重工3社で最も低いPER──三菱重工に比べて期待の織り込みは控えめ
😟 個人的に注視しているリスク(筆者の意見)
  • 利益の約4割が不動産売却益──今期の営業利益見通しの約37%。売る不動産には限りがあり、いずれ本業だけで利益を伸ばす必要がある
  • 先行投資の3年間──2026〜2028年度は累計投資額が累計営業CFを上回る計画。1Qの営業CFは432億円の支出超過(棚卸資産の増加など)
  • PW1100G-JMエンジンの追加検査プログラム──出荷済みエンジンの追加検査に関わる負担が続いており、前期は為替変動の影響で営業損益に△50億円が含まれた(2026年3月期決算短信)
  • コンプライアンス──連結子会社のIHIエアロスペースが、JAXAとの契約で事実と異なる報告に基づく費用請求が確認されたとして、2026年6月2日に5か月間の競争参加資格停止処分を受けた(第1四半期決算短信)
  • 為替──2Q以降の前提は1ドル=145円。1円の円高で2〜4Qの営業利益が約15億円減る計算(説明資料)
  • 財務──有利子負債はリース負債を含め4,871億円(6月末)、親会社所有者帰属持分比率は28.3%と、三菱重工に比べると薄め

Q. IHIの株価は今いくら?
A. 2026年10月16日終値で2,526.5円です。2025年10月1日に1株→7株の株式分割を実施しているため、それ以前のチャートと比べる際は分割調整後の数値でご覧ください。

Q. 何株から・いくらから買える?
A. 単元は100株で、約25万円から購入できます(10月16日終値ベース)。証券会社によっては1株単位(約2,500円)から買える単元未満株サービスもあります。

Q. 配当はいくら・いつもらえる?
A. 2027年3月期の予想は年23円(中間11.5円・期末11.5円)で、100株なら年2,300円(税引前)です。基準日は9月末と3月末。会社は安定配当を基本とし、2029年度以降に株主還元の拡大を目指す方針です。

Q. IHIは今も船を造っている?
A. IHIの事業セグメントに造船はありません。造船部門は2013年にJMU(ジャパンマリンユナイテッド)へ統合され、IHIは現在もJMU株の20%を保有しています(JMU公式サイト)。JMUは2026年1月から今治造船の子会社です。

Q. IHIの株価はなぜ下がった?
A. 年初来高値4,698円(2月10日)から、6月11日には2,245円まで下がりました。個別の下落理由について会社の説明はありませんが、この間に重工株全体の調整があり、三菱重工も年初来高値5,208円から6月11日に安値3,404円を付けています(Yahoo!ファイナンス)。業績自体は過去最高益の見通しを維持しています。

Q. NISAで買える?
A. 東証プライム上場の個別株なので、新NISAの成長投資枠で購入できます(つみたて投資枠は投資信託等が対象のため個別株は不可)。

  1. IHIは空とエネルギーの会社──前期の営業利益の約7割を航空・宇宙・防衛が稼いだ。造船はJMUへの20%出資でつながる
  2. 株価2,526.5円・PER約15.6倍──年初来高値から約46%下。重工3社でPERは最も低く、ROEは最も高い(10月16日時点)
  3. 今期は過去最高益の見通しに上方修正──営業利益2,500億円、ただし約37%は不動産売却益
  4. 稼ぎ頭は民間エンジンのスペアパーツ──民間エンジン売上は今期4,800億円見通し、防衛は約1.4倍に
  5. 配当は分割後で年23円予想・利回り約0.9%──当面は安定配当、還元拡大は2029年度以降のフェーズ2から
  6. スタンスは本業は本物、不動産益と先行投資を割り引いての中立〜やや前向き(筆者の意見)
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本記事の出典:IHI「2027年3月期 第1四半期決算短信〔IFRS〕(連結)」・「2026年度第1四半期決算説明資料」(いずれも2026年8月5日発表・PDF原本を直接確認。セグメント別の受注・売上・営業利益・見通し、民間エンジン事業の売上構成、為替感応度、不動産売却益を含む)、「2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)」(2026年5月8日・配当方針・PW1100G-JM追加検査プログラムの影響)、「2025年度(2026年3月期)決算説明会 中長期の方向性」(2026年5月8日)、「固定資産の譲渡および譲渡益の計上に関するお知らせ」(2026年3月27日・4月20日・6月12日)、「ドイツ子会社Steinmüller Engineering GmbHの持分の譲渡に関するお知らせ」(2026年9月29日)、「主要株主の異動に関するお知らせ」(2026年2月3日・4月23日)、Yahoo!ファイナンス(証券コード照合・株価・時価総額・PBR・ROE・年初来高安、IHI7013/三菱重工7011/川崎重工7012、2026年10月16日終値)、JMU公式サイト(会社概要・株主構成)、日本海事新聞(今治造船によるJMU子会社化と檜垣社長の発言〔2026年1月7日付〕)。PER・利回り・割合・騰落率・分割換算は上記数値からの当ブログの単純計算です。

⚠️ 注意点

本記事は情報提供を目的としており、特定銘柄への投資勧誘を目的としたものではありません。「アナリストの視点」の章は筆者の個人的な意見であり、将来の株価・業績を保証するものではありません。記載の数値は公表・閲覧時点のものです。投資の際は必ず最新の公式IR資料をご確認のうえ、ご自身の判断で行ってください。記載内容に基づいて被ったいかなるトラブル・損失についても、情報提供者は一切の責任を負いません。

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