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日本製鉄(5401)2026年4〜6月期決算まとめ|通期6,300億円へ上方修正の「正体」──実力7,000億円据え置き・USスチールが利益の柱に

決算・銘柄まとめ
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「日本製鉄が通期を上方修正したけど、中身は本当に良いの?」──。2026年8月4日に発表された日本製鉄(5401)の2027年3月期 第1四半期決算。事業利益6,300億円への上方修正が見出しを飾りましたが、決算短信と会社の説明資料を原本から読み込むと、見出しだけでは分からない「修正の正体」が見えてきます。

本記事は決算短信・会社発表資料(PDF原本)を直接確認したうえで、証券アナリストの目線で1Q決算の中身・通期見通し・配当・注目ポイントを整理します。数値はすべて一次資料ベース、投資スタンスに関わる部分は「個人的な意見」と明示して書き分けます。

※本記事は2026年8月11日時点の公開情報(日本製鉄「2027年3月期 第1四半期決算短信〔IFRS〕」および決算参考資料〔いずれも8月4日発表〕等)に基づきます。金額は百万円未満切捨ての開示値を億円に丸めて表記しています。

📖 この記事の目次(クリックでジャンプ)

項目(IFRS・連結)27年3月期 1Q26年3月期 1Q増減
売上収益2兆8,211億円2兆87億円+40.4%
事業利益1,455億円920億円+58.1%
税引前利益1,138億円▲1,451億円黒字転換
親会社帰属四半期利益752億円▲1,958億円黒字転換
基本的1株当たり利益14.40円▲37.47円

※出典:決算短信。1株当たり利益は2025年10月1日実施の株式分割(1株→5株)を遡及反映した数値です。

前年同期はUSスチール買収関連の一過性費用などで最終赤字だったため、増減率は派手に見えますが、ポイントは売上収益が4割増えたこと。これは2025年6月に完了したUSスチール買収の連結効果が、今期はフル寄与しているためです。在庫評価差などを除いた実力ベースの連結事業利益は1,084億円(前年同期1,736億円)と、実はまだ前年を下回っています(会社開示・鉄鋼新聞8月5日付)。「見かけの増益・実力の減益」が1Qの実像です。

増収の主役はUSスチールです。米国内の鋼材市況上昇と需要の捕捉が想定を上回り、USスチールの実力ベース事業利益は通期1,800億円へ上振れる見通しとなりました(会社説明・鉄鋼新聞8月5日付1面)。単独の粗鋼生産は851万トン(前年同期827万トン)、鋼材平均販売単価はトン14万1,800円(同13万9,700円)と、国内は数量・単価とも底堅く推移しました(日刊産業新聞8月6日付の決算表より)。

一方で国内製鉄事業は、内需の低迷と輸出環境の悪化(輸出3,000万トン割れの深読み参照)が重く、通期の実力ベース見通しは国内が下振れ・海外が上振れの「内訳シフト」が起きています。会社資料では通期実力見通しの内訳が国内で約900億円減・海外で約900億円増とほぼ相殺の形で示されており、「USスチールが国内の穴を埋めた」決算と要約できます。

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通期予想(27年3月期)今回前回(5月13日)
売上収益11兆2,000億円
事業利益6,300億円(前期比+22.5%)5,300億円
親会社帰属当期利益2,900億円2,200億円
実力ベース事業利益7,000億円(据え置き)7,000億円

※出典:決算短信・会社参考資料。前期実績は事業利益5,141億円・実力ベース6,504億円。上期(4〜9月累計)予想は売上収益5兆6,000億円・事業利益2,600億円・親会社帰属利益1,200億円です。なお1Q末の総資産は15兆1,760億円、親会社所有者帰属持分比率は37.1%(前期末37.7%)でした。

ここが本記事で一番強調したい点です。会社の参考資料によると、事業利益の+1,000億円修正の中身は、在庫評価差(グループ会社含む)が前回想定の100億円から800億円へ+700億円、営業外・連結調整等が▲1,800億円から▲1,500億円へ+300億円──つまりほぼ全額が在庫評価差などの「会計要因」です。本業の稼ぐ力を示す実力ベース7,000億円(前期6,504億円)は据え置かれています。

もうひとつの注目は下期偏重の利益計画です。実力ベースの想定は上期2,500億円に対して下期4,500億円。国内の実力損益を上期1,000億円→下期2,800億円へ引き上げる前提で、値上げの浸透・コスト改善・名古屋の新熱延ライン稼働(8月17日商業稼働)などがその根拠になります。「下期に年率9,000億円ペースへ乗せられるか」が今期最大の宿題です(鉄鋼新聞8月5日付)。

配当予想は中間12円・期末12円の年24円(修正なし)。同社は2025年10月1日付で1株→5株の株式分割を実施しているため、過去の配当額と比べる際は5分の1換算が必要です(分割前換算では年120円に相当)。予想EPS55円に対する配当性向は約44%となります(当ブログ計算)。

※ここから先は、公開情報をもとにした筆者の個人的な意見・見立てです。投資判断はご自身の責任でお願いします。

今回の上方修正を「サプライズ好決算」と読むのは早計だと考えます。修正の実体は在庫評価差という会計の追い風で、実力は据え置き。むしろ評価すべきは、買収初年度のUSスチールが早くも通期実力1,800億円を稼ぐ柱に育ちつつあることで、買収の巨額投資(と社債・劣後債による調達コスト)を正当化するトラックレコードが出始めた点です。参考値として、直近株価683.5円(8月6日終値・日刊産業新聞8月7日付)に対して予想EPS55円でPERは約12.4倍、予想配当利回りは約3.5%。歴史的に見て割高感はない水準です(あくまで単純計算です)。

😟 個人的に注視しているリスク(筆者の意見)
  • 下期偏重計画の達成リスク──実力損益を下期に2,000億円積み増す計画。国内の値上げ浸透と需要が想定を下回れば未達余地
  • 急激な円高──7月末の日米協調介入で一時155円台へ。輸出採算と海外利益の円換算にマイナス方向(一方で原料コストにはプラス)
  • 米国市況の持続性──USスチールの上振れは米鋼材市況次第。関税政策と市況の変化には振らされやすい
  • 国内需要の底割れ──建設・製造業の内需低迷が長引けば「国内の穴」がさらに広がる

個人的な投資スタンスとしては「中立〜やや強気」。四半期ごとに確認したいKPIは、①実力ベース事業利益の進捗(上期2,500億円に対する達成率)、②USスチールの実力利益、③国内鋼材の平均販売単価(1Qは14万1,800円)、④名古屋新ライン稼働後の超ハイテン出荷動向──の4点です。会社の全体像は日本製鉄(5401)銘柄まとめで解説しています。

  1. 1Qは売上4割増・事業利益58%増──ただし実力ベースは1,084億円と前年(1,736億円)を下回る。「見かけの増益・実力の減益」
  2. 通期6,300億円への上方修正はほぼ会計要因──在庫評価差等で+1,000億円。実力7,000億円は据え置き
  3. USスチールが早くも利益の柱──実力1,800億円へ上振れ、国内の下振れ約900億円を海外が相殺
  4. 配当は分割後ベース年24円予想──2025年10月の1→5分割に注意。配当性向は約44%
  5. 勝負は下期──実力を上期2,500億円→下期4,500億円へ引き上げる計画の実行力が焦点
📎 一次情報リンク(必ずご確認ください)

本記事は日本製鉄(5401)の2026年8月4日発表の公開情報をもとに整理しています。正確な数値・前提・補足説明は以下の公式資料を直接ご確認ください。

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本記事の出典:日本製鉄「2027年3月期 第1四半期決算短信〔IFRS〕(連結)」「2026年度1Q決算 別冊(参考資料・データ集)」(いずれも2026年8月4日発表・PDF原本を直接確認)、鉄鋼新聞(2026年8月5日付1面)、日刊産業新聞(2026年8月5日・6日・7日付1面、株価は8月7日付マーケット欄=8月6日終値)。PER・配当利回り・配当性向は上記数値からの当ブログの単純計算です。

⚠️ 注意点

本記事は情報提供を目的としており、特定銘柄への投資勧誘を目的としたものではありません。「アナリストの視点」の章は筆者の個人的な意見であり、将来の株価・業績を保証するものではありません。記載の数値は公表時点のものです。投資の際は必ず最新の公式IR資料をご確認のうえ、ご自身の判断で行ってください。記載内容に基づいて被ったいかなるトラブル・損失についても、情報提供者は一切の責任を負いません。

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