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名村造船所(7014)2026年4〜6月期決算まとめ|経常77%増・営業利益率22%の「造船最強クラス決算」──円安158円と大型バルカーシフト、受注残4,776億円

決算・銘柄まとめ
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「造船会社で営業利益率22%」──。2026年8月6日に発表された名村造船所(7014)の2027年3月期 第1四半期決算は、売上高435.8億円(前年同期比19.5%増)、経常利益104.7億円(77.2%増)という大幅増収増益でした。労働集約型で薄利と言われてきた造船業で、本体の新造船セグメントは営業利益率28.5%(当ブログ計算)。決算短信のPDF原本から、この驚異的な採算の源泉と、死角になりうる「円高」を読み解きます。

本記事は決算短信(PDF原本)を直接確認したうえで、証券アナリストの目線で1Q決算の中身・通期見通し・配当・注目ポイントを整理します。数値はすべて一次資料ベース、投資スタンスに関わる部分は「個人的な意見」と明示して書き分けます。

※本記事は2026年8月12日時点の公開情報(名村造船所「2027年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」〔2026年8月6日発表〕等)に基づきます。金額は百万円未満四捨五入の開示値を億円に丸めて表記しています。短信の「撒積運搬船」は一般的な呼び名の「ばら積み船(バルカー)」と表記します。

📖 この記事の目次(クリックでジャンプ)

項目(日本基準・連結)27年3月期 1Q26年3月期 1Q増減
売上高435.8億円364.8億円+19.5%
営業利益98.0億円57.5億円+70.3%
経常利益104.7億円59.1億円+77.2%
親会社株主帰属四半期純利益73.4億円45.6億円+61.0%
1株当たり四半期純利益105.74円65.75円

※出典:決算短信(2026年8月6日発表)。自己資本比率は51.1%(前期末51.3%)、有利子負債比率は14.9%と財務も健全です。連結には修繕船を担う佐世保重工業・函館どつくを含みます。

全社の営業利益率は22.5%(当ブログ計算)。前四半期までの好調をさらに加速させた形で、会社自身も「概ね計画通り」ではなく増産と原価削減の成果を前面に出した説明をしています。一方、包括利益は33.1億円と前年同期比53.6%減──純利益73.4億円を稼ぎながら、保有する投資有価証券の時価下落が響き、純資産の増加は12.2億円にとどまりました(決算短信)。この「損益計算書は絶好調、包括利益は逆風」というコントラストは後述します。

短信は増益要因を明快に説明しています。第一に為替。この1Qの売上高平均レートは1ドル=158.87円と、前年同期の145.36円から13.51円の円安でした(決算短信の開示値)。輸出比率の高いドル建て船価を円換算する造船業にとって、この差はダイレクトに売上と利益を押し上げます。

第二にプロダクトミックスの転換です。同社はハンディ型(小型)ばら積み船中心の建造体制から、大型ばら積み船を主商品とする体制への移行を進めており、これが順調に進捗。高操業を維持しながらドック期間や進水後の艤装期間の短縮で増産を実現し、さらにサプライチェーン見直しなどの原価削減が「資材価格や人件費高騰の影響を上回る成果」を出したと明記しています(決算短信)。円安・単価アップ・増産・コストダウンの4つが同時に効いた、教科書のような好決算です。

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セグメント売上高営業利益受注残高
新造船342.9億円(+16.7%)97.8億円(+71.8%)4,776.6億円・51隻(+13.7%)
修繕船(佐世保重工・函館どつく)52.0億円(+26.4%)3.7億円(▲30.2%)103.0億円(+43.9%)
鉄構・機械20.9億円(+59.9%)2.4億円(+222.5%)81.5億円(+27.2%)
その他19.9億円(+18.3%)2.9億円(+36.3%)16.2億円(+3.2%)

※出典:決算短信のセグメント別概況。受注残の増減率は前年同四半期末比。

主役は文句なしに新造船で、セグメント営業利益率は28.5%(当ブログ計算)。一方で修繕船は増収なのに30.2%減益でした。前年同期は国内艦艇修繕の工事量が少なかった反動で売上は増えたものの利益が伸びず、会社も「収益改善に努めてまいります」と課題認識を示しています。防衛需要の追い風が言われる艦艇修繕で採算がまだ安定していない点は、グループの宿題と言えます。鉄構・機械は橋梁部門の黒字転換と舶用エンジン向けクランクシャフトの採算改善で大幅増益となり、脇役陣も改善方向です(決算短信)。

1Qはハンディ型ばら積み船4隻を完工し、大型ばら積み船6隻を受注。四半期末の新造船受注残高は51隻・4,776.6億円(前年同期比13.7%増)となりました。通期売上予想1,700億円に対して約2.8年分の仕事量です(当ブログ計算)。完工がハンディ型、新規受注が大型──という組み合わせ自体が、セクション2で述べた「大型化シフト」が実際の商談で進んでいる証拠になっています。

財政面では、現預金の一部を大型設備投資計画の支払いまでの間、短期の国債で運用するという記述も登場しました(決算短信)。手元資金を遊ばせず、かつ設備投資の原資として確保しておく──好決算の裏で次の成長投資への準備が進んでいることがうかがえる一文です。

通期予想(27年3月期)数値前期比1Q進捗率
売上高1,700億円+6.9%25.6%
営業利益290億円+3.3%33.8%
経常利益300億円+1.6%34.9%
親会社株主帰属当期純利益220億円+1.9%33.4%
1株当たり当期純利益316.83円

※出典:決算短信(進捗率は短信自身が掲載する開示値)。通期予想は5月14日公表値から据え置きです。

経常進捗率34.9%と順調ですが、会社は「今後の為替の動向が不透明であり、インフレ圧力が強まることも予想される」ことを理由に据え置きを明言しました。1Qを押し上げた円安(平均158.87円・期末162.39円)は、7月末の日米協調介入で足元155円台の円高へ反転しており(円高と造船の深読み解説)、この据え置き判断は妥当な慎重さと読めます。

配当は中間30円・期末30円の年60円予想(修正なし)。前期の年50円(中間20円・期末30円)から10円の増配を計画しています。予想EPS316.83円に対する配当性向は約19%(当ブログ計算)と保守的で、大型設備投資と両立できる範囲での還元強化です。

※ここから先は、公開情報をもとにした筆者の個人的な意見・見立てです。投資判断はご自身の責任でお願いします。

名村造船所は、上場造船株の中で「船価上昇×円安×操業改革」という好況の果実を最も分かりやすく利益に変換している会社だと考えます。参考値として、直近株価4,385円(8月12日・Yahoo!ファイナンス)に対して予想EPS316.83円でPERは約13.8倍、予想配当利回りは約1.4%。営業利益率22%・受注残2.8年分・自己資本比率51%という中身を考えれば、割高感の強い水準ではないと見ています。個人的なスタンスは「やや強気」。ただし最大の変数は為替です。同社の開示が示す通り1Qの採算は円安レート158.87円の上に成り立っており、未予約のドル建て売上は期末レートで換算される仕組み上、円高が定着すれば下期の数字は目減りする方向。155円が続くのか、さらに円高が進むのかが、この「造船最強クラスの決算」の持続力を決めると考えます。

😟 個人的に注視しているリスク(筆者の意見)
  • 円高の反転リスク──1Qの平均レートは158.87円。協調介入後の155円台が定着・進行すれば、売上換算も為替評価も逆風に
  • 包括利益のサイン──1Qは投資有価証券の時価下落で包括利益53.6%減。市場環境次第で純資産の伸びが鈍る局面がある
  • 修繕船の採算──増収でも30.2%減益。佐世保・函館の収益改善が進まなければグループの足を引っ張る
  • バルカー市況への依存──主力商品がばら積み船に集中しており、バルカー発注サイクルの反転には他社より敏感

注目KPIは、①為替(ドル円と同社の売上平均レート)、②大型バルカーの追加受注と船価水準、③修繕船セグメントの黒字幅、④大型設備投資計画の具体化──の4点です。造船各社の決算は内海造船(7018)J-ENG(6016)のまとめも併せてどうぞ。

  1. 1Qは経常104.7億円(77.2%増)・営業利益率22.5%──円安158.87円、大型バルカーへのシフト、増産、原価削減の4拍子がそろった大幅増収増益
  2. 新造船セグメントの営業利益率は28.5%──ドック期間・艤装期間の短縮で増産を実現。修繕船(佐世保・函館)は増収減益で課題残り
  3. 大型バルカー6隻を受注、受注残4,776.6億円(13.7%増)──通期売上の約2.8年分。大型化シフトが商談でも進行中
  4. 経常進捗率34.9%でも通期据え置き──理由は「為替の動向が不透明」。配当は年60円へ10円増配予想(性向約19%)
  5. 最大の変数は円高──未予約ドル建て売上は期末レート換算。155円台の定着度合いが下期の採算を左右(見立て)
📎 一次情報リンク(必ずご確認ください)

本記事は名村造船所(7014)の2026年8月6日発表の公開情報をもとに整理しています。正確な数値・前提・補足説明は以下の公式資料を直接ご確認ください。

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本記事の出典:名村造船所「2027年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」(2026年8月6日発表・PDF原本を直接確認。セグメント別概況・為替レート開示・業績予想を含む)、Yahoo!ファイナンス(証券コード照合・株価、2026年8月12日閲覧)。PER・配当利回り・配当性向・利益率・受注残の年数換算は上記数値からの当ブログの単純計算です。

⚠️ 注意点

本記事は情報提供を目的としており、特定銘柄への投資勧誘を目的としたものではありません。「アナリストの視点」の章は筆者の個人的な意見であり、将来の株価・業績を保証するものではありません。記載の数値は公表時点のものです。投資の際は必ず最新の公式IR資料をご確認のうえ、ご自身の判断で行ってください。記載内容に基づいて被ったいかなるトラブル・損失についても、情報提供者は一切の責任を負いません。

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