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鉄鋼業界に関わる人の必修ニュース 2026年10月第3週|経産省の10〜12月粗鋼は2,067万トン・関東の鉄スクラップ輸出が3カ月ぶり5万円台・富士鋼材が永井鋼業をグループ化──これだけ押さえれば情報通

鉄鋼トピックス
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「業界の人と話すとき、話題に困りたくない」「先週何が動いたか、最低限これだけは押さえておきたい」──そんな鉄鋼業界に関わる方のための、週次キャッチアップ記事です。今週(2026年10月12日〜10月16日、12日は祝日で休刊)は、「国内は低水準ながら上向き、世界は中国の不振で足踏み──需要の見通しが出そろった週」でした。経済産業省は10〜12月の粗鋼需要を2,067万トンと見込み、2026年の粗鋼生産は5年ぶりに前年を上回る計算です。一方、世界鉄鋼協会は2026年の世界の鋼材需要が2年ぶりに減るとの見通しを出しました。市場では、関東の鉄スクラップ輸出価格が3カ月ぶりに5万円台へ戻り、東京の薄板価格も全品種で上がっています。

本記事は2026年10月17日時点の公開情報(日刊鉄鋼新聞・日刊産業新聞の紙面ほか)をもとに、業界人なら最低限押さえておきたい先週のトピックスを1本に凝縮しました。これだけ読めば打ち合わせや雑談で「情報通だね」と言ってもらえる、実用的な内容を目指しています。

※本記事は日刊鉄鋼新聞・日刊産業新聞の2026年10月13日付〜10月16日付の紙面、世界鉄鋼協会の発表(海外報道で確認)ほかの公開情報に基づき作成しています。数値は各記事の公表時点のものです。

📖 この記事の目次(クリックでジャンプ)

1. 経産省、10〜12月の粗鋼需要は2,067万トン──2026年は5年ぶりの前年超えへ

【何が起きた?】経済産業省は10月15日、2026年度第3四半期(10〜12月)の鋼材需要見通しを発表しました。需要から計算した粗鋼の生産量(出荷等相当粗鋼需要)は2,067万トンで、前年同期比2.3%増、前期(7〜9月、実績見込み)比2.9%増です。日刊鉄鋼新聞は「水準は依然として低い」としながらも、3四半期連続で前年同期を上回る見通しだと伝えています。この見通しを織り込むと、2026年(1〜12月)の粗鋼生産は8,116万トンとなり、暦年ベースで2021年以来5年ぶりに前年を上回る計算です(日刊鉄鋼新聞・日刊産業新聞10月16日付1面)。

項目(10〜12月)見通し前年同期比前期比
出荷等相当粗鋼需要2,067万トン+2.3%+2.9%
鋼材需要(合計)1,849万トン横ばい+1.8%
 うち国内1,238万トン+1.2%+1.5%
 うち輸出611万トン−2.4%+2.3%
普通鋼鋼材1,454万トン−0.9%+2.3%
特殊鋼鋼材394万トン+3.4%−0.3%
出典:経済産業省の10〜12月期鋼材需要見通し(日刊鉄鋼新聞・日刊産業新聞10月16日付1面の掲載表)

分野別(普通鋼鋼材の国内消費)では、建設が379万トンで前年同期比2.3%増。うち土木は前期比で10.8%増えます。自動車は240.7万トンで前年同期比0.3%増と底堅い一方、造船は72.1万トンで前年同期比9.8%減、前期比4.4%減の見通しです。日刊産業新聞によると、造船は手持ち工事量が高い水準にあるものの、人手不足で建造のペースが上がらないことが理由です(同)。

経産省の担当課長は会見で、一部の需要分野で持ち直しの動きが見られる一方、輸出環境の悪化などもあり、回復基調が続くかどうかを見極める必要があるとの慎重な見方を示しました(日刊鉄鋼新聞同日付)。

【なぜ重要?】ここ数年、国内の粗鋼生産は減り続けてきました。5年ぶりの前年超えは小さな変化ですが、底を打った可能性を示す数字です。ただ、増加幅は0.6%程度(日刊産業新聞)と小さく、輸出は前年を下回ります。需要の回復が値上げを支えるほど力強いかどうかが、今後の鋼材価格を占うポイントになりそうです(この段落は筆者の見立てです)。

📌 ここはチェック

造船向けの鋼材が減るのは仕事がないからではなく、人が足りず造るペースが上がらないからです。造船所の人手不足が、鉄鋼の需要にも影を落としている点は押さえておきたいところです。造船側の状況は今週の造船版の必修ニュースで解説しています。

2. 世界の鋼材需要、2026年は2年ぶりの減少へ──世界鉄鋼協会が下方修正

【何が起きた?】世界鉄鋼協会(worldsteel)は10月12日、短期見通しを発表しました。2026年の世界の鋼材需要は17億2,220万トンで前年比0.1%減と、2年ぶりに減る見通しです。4月時点の予想(0.3%増)から下方修正しました。中国のほか、ロシア・ウクライナの減少が続き、紛争が長引く中東が大きく減るためです。2027年は17億5,190万トンと1.7%増える見通しで、中国は減少が続くものの、多くの地域で増加するとしています(日刊産業新聞10月14日付3面)。

地域・国2026年の需要2026年の前年比2027年の前年比
世界17億2,220万トン−0.1%+1.7%
中国7億8,010万トン−2.0%−1.0%
インド1億7,240万トン+7.9%+8.0%
米国9,270万トン+2.0%+1.5%
日本4,840万トン+0.9%+1.7%
中東5,480万トン−13.9%+8.8%
出典:世界鉄鋼協会の短期見通し(日刊産業新聞10月14日付3面の掲載表)。世界・中国・インド・米国の数字は海外報道(Mysteel、PSU Watchほか)でも一致を確認

【なぜ重要?】世界の需要が伸びないなかで中国の需要が減れば、余った鋼材が輸出に回りやすくなります。先週お伝えしたとおり、中国の鋼材輸出は過去最高の水準で推移しています(先週の必修ニュース)。日本の需要はわずかに増える見通しですが、アジア市場での価格競争は続きそうです。日本の鉄鋼輸出が伸び悩む背景は鉄鋼輸出「3,000万トン割れ」の深読み解説で詳しく解説しています(前段は筆者の見立てです)。

3. 関東の鉄スクラップ輸出入札、5万2,077円──3カ月ぶりに5万円台を回復

【何が起きた?】先週、結果を次回お伝えするとした関東鉄源協同組合の10月の鉄スクラップ輸出入札(10月9日実施)の結果が出ました。トン当たり5万2,077円(H2、FAS)で2万トンを落札し、前月比で3,964円の上昇です。値上がりは5カ月ぶりで、3カ月ぶりにトン5万円台に戻りました。行き先はバングラデシュで、ドル建て輸出価格の上昇と円安が要因です。5万2,000円台は大方の想定を上回る高値でした(日刊鉄鋼新聞・日刊産業新聞10月13日付1面)。

9日時点の為替は1ドル=158円前後で、前回入札時(9月9日)より約5円の円安でした。今回の落札分の船積み期限は11月30日で、次回の入札は11月11日の予定です(日刊鉄鋼新聞同日付)。

📊 国内の電炉メーカーも買値を引き上げ
  • 東京製鉄:9日から関東2拠点の購入価格をトン1,000円引き上げ(日刊鉄鋼新聞10月13日付)、14日からは全拠点でトン1,000円引き上げ(同10月14日付)
  • 関東の他の電炉メーカー:多くが追随し、電炉メーカーの購入価格は1,000円方続伸(同10月13日付)
  • 大阪・姫路地区:トン500円上伸(同)
  • 日刊産業新聞調べの日本鉄スクラップ総合価格:14日時点でトン5万1,000円。前日から1,000円上がり、直近の安値からの上げ幅は累計2,800円(日刊産業新聞10月15日付1面)

【なぜ重要?】先週、普通鋼電炉工業会の会長は、電力料金と鉄スクラップ高で多くの会員が上期に赤字になるとの危機感を示しました。輸出価格が5万円台に乗り、国内の買値も上がり続けると、電炉メーカーの原料コストはさらに重くなります。電炉の製品値上げがどこまで追いつくかが、引き続き焦点です。鉄スクラップの品質区分の話は鉄スクラップ新規格の深読み解説もどうぞ(この段落は筆者の見立てです)。

4. 東京の薄板市況が全品種で上昇──JFEの減産で品薄感

【何が起きた?】東京地区の薄板の市中価格が全品種で上がりました。熱延鋼板(中板)と酸洗鋼板は前月比でトン当たり5,000円高と急伸し、冷延鋼板と溶融亜鉛めっき鋼板は3,000円、電気亜鉛めっき鋼板は1,000円上がっています。JFEスチールの大幅な減産で納期の遅れや引き受けの削減が広がるなか、専門商社やコイルセンターなどの大手流通が市中で材料を手当てする動きも出ています。同業からの引き合いが急に増え、受注量に上限を設けたケースもあり、品薄感が強まっています(日刊産業新聞10月15日付1面)。

鉄鋼メーカーの相次ぐ値上げで、国内高炉の累計の値上げ幅はトン2万〜2万5,000円に達しています。今月からトン5,000円の値上げを実施した大手流通の経営者は、来月以降も同程度の値上げを段階的に進めていく考えを示しています(同)。

【なぜ重要?】メーカーの値上げ(先々週・先週)とJFE千葉地区の高炉不調による減産が重なり、市中の値段が実際に上がり始めたことが確認できた形です。メーカーの値上げが市況に浸透するかどうかは、流通の在庫と需要家の買い方次第ですが、品薄が続く間は上がりやすい状況です。背景はJFE千葉の高炉不調の深読み解説で整理しています(この段落は筆者の見立てです)。

5. 富士鋼材が永井鋼業をグループ化──関西の鉄筋流通で再編

【何が起きた?】大手鉄筋流通の富士鋼材(本社・香川県高松市、富家次郎社長)は、同じく大手鉄筋流通の永井鋼業(本社・神戸市西区、永井浩社長)をグループ化しました。10月9日付で株式の80%を取得し、残る20%は永井社長が引き続き持ちます。鉄筋の需要が減り、流通業界の再編が進むと見込まれるなか、関西地区での営業基盤や仕入れ面の連携を強めます(日刊鉄鋼新聞・日刊産業新聞10月14日付1面)。

永井鋼業は鉄筋を主力に形鋼や鋼板類も扱い、販売エリアは近畿2府4県。2025年11月期の売上高は145億円、従業員は42人で、鋼材の取扱量は約15万トン(うち鉄筋が約13万5,000トン)です。富家社長は今回のグループ化について、鉄鋼流通が「生き残る確率を上げるため。その選択だ」と話しています。永井社長は代表取締役社長として続投し、当面は従来の経営・営業体制を維持します(日刊鉄鋼新聞同日付)。

【なぜ重要?】先週は、オーナー系の鉄鋼流通が事業承継に危機感を強めていることや、アムロンによる萩尾鉄工所の買収をお伝えしました。需要減と後継者問題を背景にした流通・加工の再編が、毎週のように続いています。鉄鋼業界全体の流れは鉄鋼業界の将来性 2026年最新版でまとめています(この段落は筆者の見立てです)。

6. 今週の短信──日鉄建材の新プレス機、東京都がGXスチール製家具を初採用ほか

  • 日鉄建材・君津製造所(千葉県君津市)、建築用の角形鋼管(プレスコラム)の新プレス機が9月から営業生産を開始──プレス能力を4,000トンから1万8,000トンに拡大し、切断・開先ラインも増設。生産の上方弾力性は2割向上。旧プレス機は1989年稼働で老朽化していた(日刊鉄鋼新聞10月15日付1面)
  • 東京都、日本製鉄(5401)の「GXスチール」を使ったオカムラ(7994)製のオフィス家具を初めて採用──都庁第一本庁舎にリーフレット展示用として設置。都はグリーン製品の創出を支援する事業で両社を今年度の支援対象に選んでいた(日刊鉄鋼新聞10月13日付1面)
  • インド政府、国家鉄鋼政策「ビジョン2047」の草案を公表──建国100年の2047年に向け、粗鋼の年産能力を6億トン超、輸出を4,500万トンに拡大する目標。原料の調達が課題に(日刊鉄鋼新聞10月14日付1面)
  • 伊藤忠丸紅鉄鋼など3社、インドで高強度ファスナー(ねじ・ボルト類)事業の戦略的提携──インドのカパロ・エンジニアリング・インディア、精密締結部品メーカーのアンスコ(愛知県瀬戸市)と10月14日付で締結(日刊産業新聞10月16日付1面)
  • 鉄鋼産業懇談会の廣瀬会長(日本製鉄副社長)、足元の鋼材需要は分野によってまちまちの動き──中東情勢や自然災害など不透明な材料が多いとの認識(日刊鉄鋼新聞10月16日付1面)
🔁 先週の「来週以降の注目」答え合わせ
  • 関東の輸出入札はトン5万円を超えたか → 超えました。5万2,077円で、市中の予想どおり5万円台に(第3章)
  • JFE千葉地区の高炉の回復状況 → 回復の発表は確認できていません。東京の薄板市況では、JFEの減産による品薄感がむしろ強まっています(第4章)
  • 電炉メーカー各社の上期決算 → 発表はこれから。鉄スクラップ高が続いており、引き続き注目です

7. 今週の用語解説

出荷等相当粗鋼需要とは

経済産業省が四半期ごとに出す鋼材の需要見通しをもとに、その需要を満たすのに必要な粗鋼(鋼材のもとになる鋼)の量を計算した数字。実質的に、国内の粗鋼生産量の見通しとして使われます。

FAS(エフエーエス)とは

Free Alongside Shipの略で、貨物を港で船の横まで届けた時点での価格。船に積み込む費用や運賃は含みません。関東鉄源協同組合の輸出入札の価格は、このFASで表示されます。

プレスコラムとは

鋼板をプレス機で常温のまま折り曲げて四角い筒に成形した角形鋼管(冷間プレス成形角形鋼管)。ビルや倉庫など建物の柱に使われます。建物の大型化・高層化で、厚い製品の需要が高まっています。

上方弾力性とは

需要が増えたときに、どれだけ生産量を上積みできるかという余力のこと。上方弾力性が2割向上したというのは、いざというときに今より2割多く造れる体制になったという意味です。

8. まとめ──今週の3行サマリ

  1. 国内は上向き、世界は足踏み──経産省の10〜12月の粗鋼需要は2,067万トンで、2026年は5年ぶりの前年超えへ。世界の鋼材需要は2年ぶりに減る見通し
  2. 原料も製品も値上がり──関東の鉄スクラップ輸出は3カ月ぶり5万円台、東京の薄板はJFE減産で全品種上昇
  3. 流通再編が続く──富士鋼材が永井鋼業の株式80%を取得し、関西の鉄筋流通で連携
👀 来週以降の注目
  • JFE千葉地区の高炉の回復状況と、薄板の品薄感がいつまで続くか
  • 鉄スクラップ高のなかで、電炉メーカーが製品の追加値上げに動くかどうか
  • これから発表が本格化する鉄鋼各社の上期決算と、通期見通しの修正

国内の需要に底打ちの兆しが見える一方、世界は中国の不振で足踏みし、国内では原料も製品も値上がりが続いた1週間でした。これだけ押さえておけば、明日の打ち合わせや業界人との会話で恥をかかずに済むはずです。引き続き毎週このシリーズで「業界人の必修ニュース」をお届けしていきますので、定期チェックにご活用ください。

💡 ぞうせんおじさんの一言

国内の需要は底打ちの兆しが見えるところまで来ました。これから発表される上期決算で、値上げがどこまで利益に効いているかが見えてきます。
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本記事の出典:日刊鉄鋼新聞(関東鉄源協同組合の輸出入札・電炉の買値・東京都のGXスチール家具採用〔10月13日付1面〕、富士鋼材と永井鋼業・インドの国家鉄鋼政策・東京製鉄の買値〔10月14日付1面〕、日鉄建材の新プレス機〔10月15日付1面〕、経産省の10〜12月鋼材需要見通し・鉄鋼産業懇談会〔10月16日付1面〕)、日刊産業新聞(関東の輸出入札〔10月13日付1面〕、富士鋼材と永井鋼業〔10月14日付1面〕、世界鉄鋼協会の短期見通し〔10月14日付3面〕、東京の薄板市況・日鉄建材・鉄スクラップ総合価格〔10月15日付1面〕、経産省の需要見通し・伊藤忠丸紅鉄鋼など3社〔10月16日付1面〕)、世界鉄鋼協会の短期見通し(Mysteel、PSU Watchほかの海外報道で数字を照合)。証券コードはYahoo!ファイナンスで照合。数値は各記事の公表時点のものです。

⚠️ 注意点

本記事は公開情報に基づく業界ニュースの解説であり、特定企業への投資勧誘を目的としたものではありません。「なぜ重要?」の解説には筆者の見立てを含みます。最新かつ正確な情報は、各社の公式発表や一次情報を必ずご確認ください。記載内容に基づいて被ったいかなるトラブル・損失についても、情報提供者は一切の責任を負いません。

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