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「名村造船所の本決算ってどうだった?」「前期の絶好調から減益になった?」──。名村造船所(証券コード:7014)が2026年5月14日に2026年3月期の通期決算を発表しました。本記事は決算短信に基づいて、新造船・修繕船を含むセグメント別動向まで詳しく整理します。
本記事は2026年5月14日発表の名村造船所2026年3月期決算短信〔日本基準〕(連結)をもとに、業績・セグメント別状況・受注残・配当・2027年3月期見通しをまとめます。造船セクター・高配当バリュー銘柄に関心のある方の情報整理にお役立てください。
※本記事は2026年5月14日発表の名村造船所2026年3月期決算短信(日本基準連結)に基づきます。詳細・正式数値は同社IR公式の決算短信PDFでご確認ください。
📖 この記事の目次(クリックでジャンプ)
- 2026年3月期 連結業績サマリ
- セグメント別動向:新造船は増収増益・修繕船は減益
- 新造船の建造・受注実績
- 為替動向と業績への影響
- 財務体質:自己資本比率51.3%へ改善
- 配当:50円維持・27年は10円増配の60円予想
- 2027年3月期 連結業績予想
- 投資家・業界関係者目線の整理
- まとめ
2026年3月期 連結業績サマリ
名村造船所の2026年3月期通期決算は、経常利益は前期比+0.1%とほぼ同水準で過去最高益を更新しつつ、純利益は法人税等の増加により△17.7%減益となりました。前期に78.7%増益という絶好調だった反動が一部出つつも、本業は依然堅調を維持しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 | 前期比 |
| 売上高 | 1,592.27億円 | 1,590.35億円 | △0.1% |
| 営業利益 | 294.66億円 | 280.85億円 | △4.7% |
| 経常利益 | 295.04億円 | 295.35億円 | +0.1% |
| 親会社株主帰属 当期純利益 |
262.45億円 | 215.90億円 | △17.7% |
| 1株当たり当期純利益 | 378.35円 | 310.92円 | △17.8% |
| 自己資本当期純利益率 (ROE) |
28.6% | 17.9% | △10.7pt |
| 売上高営業利益率 | 18.5% | 17.7% | △0.8pt |
純利益が大幅減益となった理由は法人税等が前期比+48.15億円増加したため。本業の収益力は維持されており、経常利益では前期実績をわずかに上回って過去最高益を更新しています。
セグメント別動向:新造船は増収増益・修繕船は減益
| セグメント | 売上高 | 営業利益 | 前期比(営業利益) |
| 新造船 | 1,256.43億円 | 286.30億円 | +3.8% |
| 修繕船 (佐世保重工・函館どつく) |
205.38億円 | 15.67億円 | △56.9% |
| 鉄構・機械 | 62.79億円 | 3.48億円 | +203.1% |
| その他 | 65.75億円 | 8.82億円 | +5.4% |
| 消去・全社 | - | △33.42億円 | - |
| 連結合計 | 1,590.35億円 | 280.85億円 | △4.7% |
- 売上高1,256億円(+2.3%)・営業利益286億円(+3.8%)と増収増益
- 資機材価格高騰・人件費上昇の逆風を、プロダクトミックス建造体制(ハンディ型+大型撒積運搬船)への移行と原価削減・円安効果でカバー
- 2026年3月期はプロダクトミックス移行の初年度として順調に進捗
- 売上高205億円(△10.9%)・営業利益15.6億円(△56.9%)と大幅減収減益
- 主因:国内艦艇修繕の当期発生工事量が大幅減少
- 米海軍向け艦艇工事や民間船大型工事の完工はあったが、年間操業量低下を補えず
- ただし期末受注残高102億円(+92.1%)と大幅増加で次年度の収益改善が期待
- 売上高63億円(+0.9%)・営業利益3.48億円(+203.1%)
- 鉄構橋梁部門で大型案件の受注が積み上がり操業量回復
- 舶用機械(クランクシャフト)も事業環境改善+原価削減・生産効率改善
- 期末受注残高80億円(+48.1%)
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新造船の建造・受注実績
名村造船所の本業である新造船事業の具体的な建造・受注実績は以下の通り。
- 完工実績:
- 大型撒積運搬船:4隻
- ハンディ型撒積運搬船等:17隻
- 合計:21隻
- 新規受注:
- 大型撒積運搬船:10隻
- ハンディ型撒積運搬船:5隻
- 合計:15隻
- 期末受注残高:4,220.73億円(前期比+7.1%)
注目すべきは大型撒積運搬船10隻の新規受注。これは伊万里事業所の大型船建造へのシフトを象徴する数字で、「大量の代替需要が見込まれる大型船」へ事業の重心を移しつつあります。
また2027年3月期からは大型LPG船(VLGC)の建造も追加し、より付加価値の高いプロダクトミックスへ移行する方針です。
為替動向と業績への影響
造船業は輸出比率が高く、為替が業績に直結します。当期の為替動向は以下の通り。
- 売上高平均レート:
- 2025年3月期:150.00円/US$
- 2026年3月期:151.80円/US$(+1.80円 円安方向)
- 期末レート:
- 2025年3月期末:149.52円/US$
- 2026年3月期末:159.88円/US$(+10.36円 円安方向)
円安基調が継続したことが業績の追い風に。2027年3月期は1ドル155円を想定しており、若干の円高方向の前提を置いています。未ヘッジ外貨は6.7億米ドル。
財務体質:自己資本比率51.3%へ改善
- 総資産:2,090.37億円 → 2,661.48億円(+571億円)
- 純資産:1,051.42億円 → 1,374.41億円(+323億円)
- 自己資本比率:50.0% → 51.3%(+1.3pt)
- 有利子負債比率:17.0% → 15.4%(△1.6pt)
- 現金及び現金同等物:901億円 → 1,187億円(+285億円)
新造船の受注増による契約負債増加が総資産を押し上げ。「大型設備投資は不況時に」を原則とする経営方針のもと、伊万里事業所の完成度を高めつつ、有利子負債比率を15.4%という低水準に抑えています。
今後はゼロエミッション船建造への大型設備投資や函館どつく・佐世保重工業の老朽設備更新などに備え、有利子負債比率80%を上限とした資金調達の多様化も検討するとしています。
配当:50円維持・27年は10円増配の60円予想
- 2025年3月期:年間50円(中間20円+期末30円)/配当性向13.2%
- 2026年3月期:年間50円(中間20円+期末30円・同水準維持)/配当性向16.1%
- 2027年3月期予想:年間60円(中間30円+期末30円・10円増配予想)/配当性向18.9%
2026/3期は純利益が△17.7%減少したものの、配当は前期同水準の50円を維持。さらに2027/3期は前期実績50円から60円へ前期実績比+10円増配を予定しており、「安定的かつ継続的な配当」方針を実践しています。
2027年3月期 連結業績予想
| 項目 | 2027年3月期予想 | 前期比 |
| 売上高 | 1,700億円 | +6.9% |
| 営業利益 | 290億円 | +3.3% |
| 経常利益 | 300億円 | +1.6% |
| 親会社株主帰属 当期純利益 |
220億円 | +1.9% |
| 1株当たり当期純利益 | 316.83円 | +1.9% |
| 年間配当 | 60円 | +10円 |
※想定為替レート:1米ドル155円/未ヘッジ外貨:6.7億米ドル
※中東情勢の業績への影響は未反映
- プロダクトミックス本格移行:伊万里事業所で大型撒積運搬船の連続建造+大型LPG船(VLGC)の建造を組み合わせ
- 政府GX経済移行債活用:ゼロエミッション船建造のための大型設備投資着手
- 付加価値向上:ハンディ型集中→より高付加価値船種への移行
- 修繕船収益改善:受注残102億円(+92%)を背景に次年度の業績回復期待
投資家・業界関係者目線の整理
- 🟠 経常利益295億円で前期同水準を維持──過去最高益をわずかに更新
- 🟠 新造船事業は売上+2.3%・営業利益+3.8%の増収増益──プロダクトミックス移行が順調
- 🟠 新造船受注残高4,221億円(+7.1%)──将来の業績基盤も盤石
- 🟠 修繕船の受注残+92%増──次年度の収益改善期待
- 🟠 自己資本比率51.3%・現預金1,187億円──財務基盤は極めて健全
- 🟠 配当50円維持+27/3期60円へ10円増配予想
- 🟠 政府GX経済移行債を活用したゼロエミッション船設備投資
- 🔵 純利益△17.7%・ROE 28.6%→17.9%──法人税等の増加が直撃
- 🔵 修繕船事業は営業利益△56.9%の大幅減益──国内艦艇修繕の発生工事量減少
- 🔵 資機材価格高騰・人件費上昇の継続
- 🔵 中東情勢が業績予想に未反映
- 🔵 2027/3期想定為替1ドル155円──さらなる円高はマイナス要因
同社の詳細分析は ㈱名村造船所 2025年3月期 決算まとめ や ㈱名村造船所を買ってみる?! もあわせてご参照ください。
まとめ
- 経常利益295億円で前期同水準維持・過去最高益をわずかに更新──ただし純利益は法人税増で△17.7%減益。
- 新造船事業は増収増益・プロダクトミックス移行が順調──大型撒積運搬船10隻新規受注、受注残4,221億円。
- 修繕船事業は営業利益△56.9%の大幅減益も受注残+92%増──次年度の業績回復期待。
- 財務体質はさらに改善(自己資本比率51.3%・現預金1,187億円)──ゼロエミッション船投資の余力十分。
- 配当は50円維持+2027/3期は60円へ10円増配予想──減益局面でも株主還元を着実に強化。
こうした銘柄をチェックする際、ぞうせんおじさんは手数料を抑えて少額からコツコツ買い増せる証券口座を選ぶようにしています。1日の約定代金合計50万円以下なら買付手数料が無料の松井証券は、銘柄分析を読みながら少しずつ仕込んでいきたい個人投資家には便利な選択肢の一つです。気になる方は口座開設しておくと、買いたいタイミングを逃しません。
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本記事は名村造船所(7014)の2026年5月14日発表の公開情報をもとに整理しています。正確な数値・前提・補足説明は以下の公式資料を直接ご確認ください。
※通期決算の決算説明資料は本記事執筆時点で同社IRサイトに未掲載のため掲載していません。後日公開された場合は同社IRページにてご確認ください。
本記事は情報提供を目的としており、特定銘柄への投資勧誘を目的としたものではありません。記載数値は2026年5月14日発表の名村造船所2026年3月期決算短信(日本基準連結)に基づき整理したものです。正確な内訳・前提・補足説明は必ず同社IR公式の決算短信PDFでご確認ください。記載内容に基づいて被ったいかなるトラブル・損失についても、情報提供者は一切の責任を負いません。


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