【バルクキャリアに超特化!橋やトマトもつくる造船会社】株式会社大島造船所にスポットを当ててみた

会社紹介

造船は今治地区ばかりではありません。
九州地区には日本一のバルク特化型造船会社大島造船所」があります。
昨今の造船会社は時代のニーズに応じた様々な船種に対応できるよう、開発や設備導入を行ってきました。そんな中、船種をバルクキャリア1本に絞ることで効率化・コストダウンを図り生き残ったのが大島造船所なんです。
この記事では、船のみならず橋やトマトも作る大島造船所の魅力をお伝えします。
関連会社には大島酒造というお酒屋さんもあるなんてステキじゃないですか♪
お酒のURL:oshima-shuzou.co.jp

・会  社  名:株式会社大島造船所
・ふりがな:かぶしきがいしゃおおしまぞうせんしょ
・代  表  者:平賀 英一(ひらが えいいち)代表取締役社長
※山口 眞(やまぐち しん)副社長が社長に昇進予定(6/28株主総会による)
・U R L:大島造船所 (osy.co.jp)
・本  社:長崎県西海市大島町1605-1(大島工場)
・他  拠  点:香焼工場(旧三菱重工業㈱ 長崎造船所 香焼工場)※こうやぎ
      東京、大阪、広島、ハノイ、ロンドン等に事務所(営業所)を構える
・関連会社:株式会社相浦機械(クレーン等製造)
      株式会社オリーブベイホテル(ホテル)
      大島酒造株式会社(酒製造)
      大島エンジニアリング株式会社(設計?)
      大島総合サービス株式会社(人材派遣?)
      有限会社ダイゾーテック(設計の海外法人)
      Oshima Shipbuilding Europe Limited(イギリス法人)
・株  主:株式会社ダイゾー、住友商事株式会社、住友重機械工業株式会社

売上規模では国内3位に位置する大手造船会社です。バルク船に特化したスタイルで、日本国内で建造されるバルク船のシェアは実に25%
新造船されたバルクの4隻に1隻は大島尾造船所製ということですね。
三菱重工から香焼工場を取得するまでは1本の建造ドックしかありませんでしたが、そのドックがこれまた広いんです。大きさは長さ535m×幅80m×深さ13m。ここに1200tゴライアスクレーンを配置し、最大で4隻同時建造が可能という・・・・
ドックサイドを使ってマラソン大会ができそうなほど広いΣ(゚Д゚)
大島造船所は鋼材搬入から加工、組立、塗装、艤装が超効率的に行えるような素晴らしい工場レイアウトをしています。
多くの造船所は設備更新や土地拡大に伴い効率的なレイアウトから離れていく印象ですが、大島造船所は違います。S47年の設立当初から工場レイアウトを綿密に計画し、工場規模拡大をしてもシンプルかつ最効率で建造を行えるように考えられていました。
その結果が、日本トップクラスの建造効率と更なる拡大余地を残しています。

今現在もドックの拡張検討がされているとの噂もあり、更なる拡大による活躍が期待されます。
また、香焼工場の引渡しが令和4年12月に済み、間もなく一番船の完成とされています。香焼工場の活用については様々な噂が聞こえてきます。大島工場同様様にバルクの建造をするとか、風力発電に関する構造物を製造するとか、海洋構造物を製造するとか・・・
香焼工場の建造ドックは国内最大級の大きさ(長さ990m×幅100m)です。
大島工場の建造ドックよりさらに広く、ここにも1200tのゴライアスクレーンがあります。ゴライアスクレーンと言えば、丸亀工場に1330tゴライアスクレーン3台を持つ今治造船のイメージでしたが、大島造船所も引けを取らない規模感でした!
また、電池式駆動船や硬翼帆式風力推進装置の開発、LNGやアンモニア燃料船への対応等、設計・技術力も国内トップクラスと言っても過言ではありません。
住友系の株主がいることから社会的な信用度も高く、住友のリソースを活用した営業力資金調達力は他造船会社にはない大島造船所特有の強みだと言えそうです。
また、鉄鋼事業では優れた橋梁・土木技術で九州のインフラを支え、農産事業でトマトを栽培し人々の健康を支えています。
造船だけではなく、様々な面で地域に貢献している大島造船所から目が離せません!

事業内容

3万~8万トン級のバルクキャリア(ばら積み貨物船)建造を主とした造船業を行っています。一時期コンテナ船への参入ニュースが出ていたかと思いますが・・・どうなったんでしょう。建造実績にコンテナ船は見当たりません(゜_゜)

鉄鋼事業では橋梁や海洋構造物(浮桟橋や防波堤)を製作し、地域インフラへの貢献をしています。

農産事業では30年以上トマトを栽培していて、長崎県の特産品になっています。トマトジュースやメロン栽培など新たな取組も開始しているようです。

直近の動向

世界初のLNG燃料の大型石炭専用船竣工、ウインドチャレンジャー(硬翼帆)搭載船のシップ・オブ・ザ・イヤー受賞など多くのトピックスがあります。
しかし、一番のトピックスといえば「生産体制の充実」これに尽きると思っています。
その中身としては「香焼工場の取得」と「隣接地取得による工場拡張」です。

令和3年に三菱重工㈱長崎造船所香焼工場の不動産を取得し、令和4年に設備の引渡しが行われました。令和5年7月から新造船の建造を本格化させ、間もなく1番船が完成する見込みです。香焼工場では新造船のみならず、洋上風力発電設備の浮体部分の製造や高付加価値船の建造なども検討しているようであり、効果的な活用方法を模索しているようです。三菱重工内で負の遺産と呼ばれていた1200tゴライアスクレーンが活躍する日が近いかもしれません。
「バルクの大島」という確固たる地位をより強固なものにするのか?新しい活路を見出し、会社として更なる発展を遂げるのか?香焼工場をどう活用していくのか注目です。

また、大島工場の隣接工業用地を取得する方向で最終調整に入っているというニュースが2023年末にありました。これにより、ゴライアスクレーンの軌道延長や内業工場設置、関連企業の誘致を進めるとみられます。
連続建造による採算性の改善や新燃料船への対応など、毎年の業績をにらみつつ5年後10年後の生き残りを見据えた取組を加速する必要があります。昨今の円安で足元の業績は改善傾向であり、線表を伸ばしていることから少なからず楽天的な声が聞こえてきていますが、実際の所は気が抜けない状況が続きます。

バルクの雄である大島造船所がどのような方法で勝ち残っていくのか?その動向から目が離せません。

2021年3月期2022年3月期2023年3月期
売  上  高109,545115,933129,592
営 業 利 益452-15,129-12,618
当期純利益1,741-14,636-9,265
                                  (単位:百万)

中国や韓国が様々な船種で勢力を拡大してきたため、そもそも厳しかったバルク市況。そこに新型コロナの影響もあり黒字を確保することが難しかったようです。香焼工場取得に係る費用計上も少なからず影響しているのでしょう。

3年連続の赤字は銀行融資にも影響すると言われますので心配ですが・・・・

しかし、株主を含めた信用、豊富な仕事量の確保、円安による損益改善といった状況を鑑みると、まだまだ慌てる必要は無いのかもしれません。     
これからも応援しています!            
ごあんぜんに!                                   以上

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