【旧海軍工廠の巨大な施設でスタートした歴史ある造船会社】佐世保重工業株式会社にスポットを当ててみた

会社紹介

最近は九州地区の仕事(求人)が熱いという話をよく聞きます。それは半導体に限った話ではありません。造船企業も熱いんです♪
上場している造船企業は少なく、そのうちの1社である「㈱名村造船所」の子会社である佐世保重工業。新造船事業の休止ニュースを見た時にはどうなることかと思いましたが、近年は黒字を確保し安定飛行に入ったようす。そんな佐世保重工業に注目してみました。

・会  社  名:佐世保重工業株式会社
・ふりがな:させぼじゅうこうぎょうかぶしきかいしゃ
・代  表  者:名村 建介(なむら けんすけ) 代表取締役社長
・U R L:佐世保重工業
・本  社:長崎県佐世保市立神町1
・親  会  社:株式会社名村造船所(本社/大阪、工場/佐賀)コード番号:7014
      株式会社名村造船所
・関連会社:函館どつく株式会社(北海道)

佐世保重工業は、1946年に旧佐世保海軍工廠から事業を引き継いだ歴史ある造船会社です。
長年培ってきた高い技術力と伝統を基盤に、修繕船事業と機械事業に特化して事業を展開しています。

同社の強みは、大型船舶の修繕を効率よく行える設備と技術力です。
2022年には第4ドックを新造用から修繕兼用へと改修し、より効率的な作業を可能にしました。
第3ドックと第4ドックは修繕ドックとして国内屈指の規模を誇り、ガイドレール式入出渠設備などの省力化設備を備えています。これらの最新鋭設備と高度な技術を活かし、商船だけでなく艦艇の修繕にも積極的に取り組んでいます。
佐世保という立地を活かした艦艇の修繕事業は、業績拡大に大きく貢献しているようです。海上自衛隊の拠点がある佐世保に位置する利点を生かし、地域とのつながりを深めながら日本の海を守る重要な役割を担っていると言えます。

機械事業では組立式舶用クランク軸やプロペラ軸といった機械製品の製作を行っています。特に組立式舶用クランク軸の製作は国内でわずか2社しか手がけておらず、同社の高い技術力を示す製品となっています。長さ約10m、重さ約十数トンという巨大な製品を100分の1ミリ単位で精密に仕上げる技術は、長年の経験に裏打ちされた匠の技によるものといえます。

佐世保重工業は、時代の変化に対応しつつ質の高い商品とサービスを提供しています。
環境課題への対応やグローバル社会への貢献にも積極的に取り組んでおり、社会的責任を果たす企業としての姿勢がヒシヒシと伝わってきます。

経営リソースを重点事業に集中させることで、効率化を図りつつ新たなビジネスチャンスにも積極的にチャレンジする柔軟性に優れた企業と言えそうです。

九州には他にも魅力的な造船企業が多く、佐世保重工もまさにその一角といっても過言でありません。
新造船事業を休止して衰退の一途を辿ると思いきや、持っている強みを最大限に生かして成長を続ける佐世保重工業には注目です。

直近の動向

新造船事業の休止!修繕業と機械事業に特化

2021年2月 新造船事業を休止し、修繕船事業と機械事業に経営資源を集中させる方針を公表しました。事業再構築に伴って希望退職者を募集していたようです。当時はコロナ禍の真っ只中であり、線表が1年を割ってくるなどの厳しい状況に立たされた造船所が少なからずありました。佐世保重工業も事業の方向転換をせざる負えなかったのだろうと思われます。

この規模の造船所が単純に解散することは、その地域の雇用や経済的なダメージが大きく簡単ではありません。2022年1月には新造船の最終引き渡しを完了させ、新造船事業が完全に休止しました。撤退ではなく休止としているのは、造船市況次第では復活する可能性を残しているということでしょうか・・・?

親会社の名村造船所も円安等を背景に好業績となり、線表も数年分を埋めている状況のようです。名村造船所や函館どつくで対応しきれない新造船の建造をする日もそう遠くないような気もします(*^^*)

日本で唯一!GTT社ライセンスを取得

2024年8月にGTT社(Gaztransport & Technigaz)のライセンスを取得したと発表されました。これはLNG船の設計や建造にも関係する技術ライセンスと推測され、今後のLNG船関連での仕事拡大を示唆していると推測できます。

本件はあくまで同社工場でLNG運搬船の修繕工事が可能になったという開示ですが、修繕の対応をしていくことで培われる知識や経験は名村造船所Gとして活かされることは間違いありません。名村造船所G内でどのように技術展開されていくかが楽しみです。

積極的な地域交流を展開

2024年10月には工場見学会の開催が告知され、地域社会との交流や企業PRに力を入れている様子が伺えます。9月には長崎県の就活情報誌やポータルサイト、佐世保市役所観光課のインスタグラムに企業情報が掲載されるなど、積極的な採用活動や地域との連携強化に取り組んでいるようです。

人材不足な造船業界において企業広告は欠かすことができません。進水式や工場見学会などで積極的に会社をPRすることはとても重要になります。九州地区においては半導体のイメージが強いため、より積極的な広報活動が今後のリクルートにも影響してくることは容易に想像できます。

昨今の活動がどの程度の効果があるのかは分かりませんが、このような面でしっかりと活動しているという姿勢はとても好感を持てます。

2022年3月期2023年3月期2024年3月期
売  上  高18,99711,71514,011
営 業 利 益8061791,199
当期純利益2838161,622
                                                           (単位:百万)

近年は船舶の修繕需要が高いこともあり、修繕業に特化した同社の業績も安定的になっていると思われます。そもそも修繕業の利益率は高いと言われ、資器材価格の変動も落ち着きつつあります。当面は業績面での心配は不要なのではないでしょうか?

名村造船所Gの一角として欠かすことのできない佐世保重工業の今後に注目です!

                          以上

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