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【株式投資】㈱名村造船所 2025年3月期 決算内容を確認

株式投資

2025年5月13日(火)
㈱名村造船所が2025年3月期の決算発表を行いました。
半期毎に決算状況を追いかけてみようかと思います。
内海造船の決算記事はこちら→【株式投資】内海造船㈱ 2025年3月期 決算内容を確認
名村造船所の過去記事はこちら→【株式投資】㈱名村造船所を買ってみる?!

・企業名
 株式会社名村造船所

・コード番号
 7014

・事業内容
 船舶海洋事業(修繕含む)、鉄構事業

・業界ポジション
 函館どつく等国内に複数拠点を構え、鉄構事業にも定評がある準大手造船企業

直近の株価推移

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・決算発表日
 2025年5月13日(火)

・対象期間
 2024年4月1日 ~ 2025年3月31日(本決算) 

業績

(単位:百万円)売上高営業利益経常利益
2025年
3月期
159,22717.9%29,46678.7%29,50447.5%
2024年
3月期
135,0068.8%16,49371.9%20,00776.0%

                                   (%表示は対前年増減率)

業績予想

(単位:百万円)売上高営業利益経常利益
2026年
3月期
158,000△0.8%21,000△28.7%2,100△28.8%

                                   (%表示は対前年増減率)

配当

単位:円)1Q2Q3Q4Q年間配当額配当性向
2024年
3月期
515206.9%
2025年
3月期
20305013.2%
2026年
3月期(予)
20204018.5%

(良)トピックス

・大幅な増収増益と高い利益率を達成
売上高は前年同期比17.9%増の1,592億円、営業利益は同78.7%増の294億円、純利益は同31.5%増の262億円と、いずれも大幅な増収増益を達成しました。営業利益率も18.5%と高水準で、主力の新造船事業や修繕船事業の好調、円安効果、コスト削減の結果が数値として表れています。

・財務体質の改善と自己資本比率の向上
純資産は1,051億円(前年同期比252億円増)、自己資本比率は50.0%(同4.6ポイント増)と、財務基盤がパワーアップしています。現預金も901億円に増加し、健全な資金繰りと成長投資の余力を確保しています。ゼロエミ船補助金の二次公募に申込むような噂も聞いていますので、設備増強等に伴うさらなる成長が期待できそうです。

・新造船受注残高の大幅増加と今後の成長基盤
新造船事業の受注残高は3,940億円(前年同期比26.8%増)と大きく積み上がり、今後3.5~4年分の操業を確保しています。環境対応船や大型船の受注も進み、安定的な事業成長に向けて着実に進んでいる様子がうかがえます。

(悪)トピックス

・次期業績予想は大幅減益見通し
2026年3月期は、営業利益2,100億円(前期比28.7%減)、純利益150億円(同42.8%減)と大幅な減益を見込んでおり、為替(円高)や材料費・人件費の上昇、研究開発費増加、課税負担増など不安材料多数の状況

・修繕船・鉄構機械事業の受注残高減少
修繕船事業の受注残高は53億円(同50.3%減)、鉄構機械事業も54億円(同21.8%減)と大幅に減少。新造船以外の事業分野での受注確保が課題となっています。
函館どつく(函館・室蘭)をどう活用するかが問われる展開ですね。室蘭は洋上風力関係の製造拠点にする案などが挙がっているようですが、敷地の広さや設備能力も限られた環境なので、どのような方向性で進むのか見守っていきたいです。

・為替&外部リスクの高まり
当期は為替差損7.9億円を計上し、為替変動リスクが顕在化しました。加えて、今後の関税措置や世界経済の不確実性など、外部環境のリスクが高まっている点も懸念材料となります。
次期は為替レートを145円として想定しています。さらに円高傾向となる可能性も十分にあり、外部環境の変化による利益率の悪化懸念は拭いきれません。

・中核商品の強化とプロダクトミックス戦略
ハンディ型撒積運搬船の大量建造に加え、LNG二元燃料船や大型撒積船との組み合わせで収益最大化を目指す方針としています。多様な需要に対し柔軟に対応できる戦略は、長期的には競争力強化に寄与する可能性が高いと思われます。
しかし、利益率を追い求めるのであれば同型船の連続建造が望ましく、対応可能な船種を広げすぎることのリスクも考える必要があり、どのようなバランスで営業活動を行うのか楽しみです。

・スマートファクトリーの推進による効率化
伊万里事業所に限らず函館どつくや佐世保重工業といった他拠点も含め全社を挙げてDXを推進していくようです。製造工程の高度化・自動化により、中長期的には生産性と品質の向上を図り、持続的な成長の基盤構築を目指すもののようです。人手不足問題は多くの造船企業が抱える問題です。各造船所がDXや省人(自動)化に対し独自にトライしている状況なので、良い成功例となることを期待して成果を待ちたいと思います。

・世界的な造船需要の堅調推移
世界の新造船需要はリーマンショック後の更新需要や環境規制対応の加速を背景に拡大傾向です。主要造船所の船台が数年先まで埋まっており、短納期対応が難しい状況が続いています。日本の造船業界も受注残の積み上がりで当面は堅調な市況が見込まれています

・中国造船所の圧倒的存在感と競争激化
中国造船所は竣工量・受注量ともに世界シェアの半数以上を占め、国際競争が激化しています。日本勢は高付加価値船や環境対応船、信頼性・品質で差別化を図る必要があり、技術・生産性向上が今後の生き残りの鍵とされています。
今後はさらに競争と淘汰が進むと想定され、各企業単位ではなく日本として造船業にどう向き合うかが試されそうです。

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感想(200件)

名村造船所は売上高や各利益項目で大幅な増収増益を達成し、財務体質も大きく改善されたことが分かる好決算でした。主力の新造船事業が円安と連続建造効果で高収益を実現し、修繕船も技術力向上で利益に貢献しています。
LNG燃料船など環境対応需要への布石も見え、中長期視点では構造的な成長期待も維持できる内容だったと思います。

一方、来期は円高・原材料高・研究投資等の影響で大幅減益を予想しており、収益調整局面となりそうです。金額や率は大きく異なりますが、市場の捉えかたは内海造船と同じです。より難しい局面に入る状況において各造船所の対応が試されますので、日々の受注状況や情報開示には注目したいと思います。

次回決算

2026年3月期 第1四半期決算 8月初旬(予定)

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